阪神・大山、プロ初サヨナラ打 「こどもまつり」で4番が夢運んだ

[ 2019年5月4日 05:30 ]

セ・リーグ   阪神2―1DeNA ( 2019年5月3日    甲子園 )

サヨナラ打を放ちガッツポーズする大山(撮影・後藤 正志)
Photo By スポニチ

 これぞ4番だ。阪神・大山悠輔内野手(24)が3日のDeNA戦(甲子園)でプロ初のサヨナラ打を放った。1―1の延長10回2死一塁から、あと少しで本塁打となる中堅フェンス直撃の決勝二塁打。『ゴールデンウイーク こどもまつり』で訪れた少年少女たちに最高の夢を見せた一打で接戦に終止符を打った。チームは再び、勝率5割に戻した。

 黄金週間で観戦に訪れた、少年少女の願いを背負って打席に入った大山は、狙い通り、三嶋の初球134キロ外角スライダーを仕留めた。打球は中堅方向に伸びフェンス上部を直撃。芝生の上を転々とする間に2死から四球で出塁した一塁走者の糸原が生還しプロ初のサヨナラ打となった。

 「一度、その日のボールを見ていたので、打席に入る前に浜中さんと話して狙い球を決めて打席に入りました」。前の打席で3球三振に抑えられた右腕への対策は万全だった。

 ベンチから飛び出してきたチームメートに手荒い祝福を受けたあと「こどもまつり」の企画でインタビュアーを務める小学生の待つお立ち台へ。愛らしい質問に笑顔で答えつつ、最後は「今日の(ような)試合を続けられるように頑張りますので、一緒に頑張りましょう! ありがとうございました!」と締め4万6552人が詰めかけたスタンドを沸かせた。一打で大観衆を魅了する。これぞ4番だ。

 思い描いていた姿だった。プロ入りが決まった3年前の秋。「子供に目標とされる選手になりたい」と何度も口にしていた。実体験からくる言葉だ。

 野球との出合いは少学1年生の時。家族に連れられて、茨城県・下妻市『宗道ニューモンキーズ』の試合を見に行った。同世代がプレーする姿に羨望(せんぼう)のまなざしを送っていると、当時の監督から「試合に出てみるか?」と誘われて急きょ出場。ジャージー姿でグラブを借り、中堅の守備に就いたのが全ての始まりだった。

 「たしか、左中間を抜けていったんです。捕れるワケがないんですけど(笑い)。でも、打球を追いかけてすごく楽しかった記憶がありますね」

 それをきっかけに没頭。練習の無い平日でもバットとグラブを持って出かけ、帰宅後はプロ野球中継に見入った。あれから18年。当時の大山少年と同じ思いで見ていた子どもたちに、夢と希望を与えた。

 「糸井さん、(福留)孝介さんに頼りっぱなしでいたらチームの主軸になれない。僕は僕で、結果を出すために毎日やっていく」

 開幕から全試合4番を任される若き大砲。試合を重ねるごとに、その頼もしさは増している。(巻木 周平)

 ≪4番の劇打は5年ぶり≫大山(神)が延長10回に中越えサヨナラ二塁打。阪神4番のサヨナラ打は14年9月29日DeNA戦のゴメス(延長10回=中犠飛)以来5年ぶり。生え抜きの打者では02年8月3日ヤクルト戦で浜中おさむ(延長10回=右中間三塁打)が記録して以来17年ぶりとなった。

続きを表示

2019年5月4日のニュース