「巨人の丸」古巣本拠の大拍手に感謝、勝負は完敗…無安打2三振

[ 2019年3月6日 05:30 ]

オープン戦   巨人1―4広島 ( 2019年3月5日    マツダ )

<広・巨>3回2死二塁、丸は大勢のファンが見つめる中、四球で出塁する(撮影・奥 調)
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 広島ファンから万雷の拍手を受けて巨人の丸は打席に入った。平日のオープン戦では開場以来初めて2万人超えとなる2万2572人が詰め掛け「お帰り」の声も飛んだ。「2番・中堅」で先発出場して初回1死で迎えた第1打席。丸は表情一つ変えなかったが、その声は届いていた。

 「守備に就いている間も、グラウンドでお客さんの前に出た時も、いろんな方から声援をいただいた。予想外。温かく迎えてくださって感謝したい」

 同一リーグのライバル球団にFA移籍。ブーイングも覚悟した。だが、中心選手として3年連続リーグ優勝に貢献した丸に、マツダスタジアムは温かかった。試合前には田中広や菊池涼と談笑。「僕は拒否したんですけれど、(広島広報が)どうしてもというんで」と鈴木とスマートフォンで写真も撮った。

 1打席目。2ボールから3球連続で左腕・床田の外角直球にフルスイングし空振り三振に倒れた。第2打席では一転した内角攻めも、ボール球を見極めて四球を選んだ。同じ左腕の飯田との第3打席では、再び外角一辺倒で見逃し三振。快音は響かなかったが「(床田は)しっかりコーナーを突いて投げていた」と3年目左腕に脱帽する姿に悲そう感はなかった。

 「初めての光景でしたけれど、少しずつ慣れていけたら。次は球種や曲がり幅を頭に入れて対戦したい」。広島とは同球場で29日の開幕戦を戦う。その雰囲気を体験できたのは収穫だ。一塁側から三塁側に変わったベンチからの景色。中堅からは元同僚のスイングを目の当たりにし「一人一人が強いスイングをする打線だと改めて思った」。6回の守備から退いたが、ベンチでは投手陣の球種や癖など気づいた点をメモに取った。

 開幕前哨戦ともいえる一戦に敗れた。広島の3連覇中は現場を離れていた原監督も「少ないチャンスをものにする。我々は挑戦者。現状としては、壁はかなり高いなという感じ」と王者の力を肌で感じた。6日にも対戦がある。丸は感慨に浸ることなく、開幕へ自らを高めていく。(青森 正宣)

 【広島からFA移籍した主な野手の広島凱旋初戦】

 ☆江藤智 00年4月21日、広島―巨人に「3番・三塁」で出場。大ブーイングの中、2安打。球場を引き揚げる時には心ないファンから缶ビールを投げつけられた。

 ☆金本知憲 03年4月1日、広島―阪神の開幕戦に「3番・左翼」で出場。初回このコールに広島ファンからも大声援。「拍手が起きてビックリしたよ。ブーイングも覚悟しとった。ジーンときた」。応援を力に変えて3安打猛打賞。

 ☆新井貴浩 08年4月1日、広島―阪神に「3番・一塁」で出場。打席に立つたびに大ブーイングが注がれ、広島時代のレプリカユニホームがグラウンドへ投げ入れられた。2安打2四球と4度出塁し「(ブーイングは)しようがないこと。厳しい世界ですから」

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