昨季は骨折でベンチから 誠也 頭魂4番打「感動しました」

[ 2018年9月27日 05:30 ]

セ・リーグ   広島10―0ヤクルト ( 2018年9月26日    マツダ )

<広・ヤ>5回無死、鈴木は遊撃内野安打を放ち、一塁へヘッドスライディング(撮影・坂田 高浩)
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 飛んだ。26日のヤクルト戦(マツダスタジアム)で広島は2回以降ゼロが並んだ5回、先頭・鈴木は執念のヘッドスライディングで遊撃内野安打をもぎ取る。1死後、野間の右翼線三塁打で長駆生還し、流れを決定づける1点を奪った。今日こそ勝って皆と喜ぶ―。熱い気持ちを激走に込め、ナインを鼓舞した。

 「素直にうれしいです。(右翼を)守っていた時に、去年はケガでベンチから優勝の光景を見たことを思い出した。感動しました」

 今季初の同一カード3連敗を喫した4月22日、中日戦の試合後。静まりかえった敵地のロッカーに突として大声が響き渡った。「切り替えていきましょう!」。発したのは鈴木だ。ナインの姿を見て自然に声が出た。

 「なんか、お通夜のように暗かったので、ムードが変わればいいな…と思って」

 開幕直後に左ハムストリング(大腿裏)の張りを発症。2週間に及ぶ離脱を経て19日に1軍復帰し、先発4番ではなく、代打要員としてベンチ待機していた。行動に駆り立てたのは、今季初めて芽生えた感情だった。

 「試合に勝って皆で喜び合いたい。去年まで以上に、今年はその気持ちが強いです」

 鈴木の野球人生に大きな影響を与えた昨年夏の右足首骨折。2連覇へ突き進むチームを横目に9月戦線を病床で過ごし、必死にリハビリする幼い子や年老いた男性の姿に触れた時、自分の未熟さに気付いた。奮い立たせる力をもらった。

 「今年の優勝は、過去のそれと違います。前の2年は自分のことで精いっぱいで、他のことを考える余裕がなかった。今年は、去年の経験もあるので…」

 本人は「大丈夫」としか言わないが、右足にはまだ痛みが残り、万全にはほど遠い。それでも4番を担う以上は「休めないし、休みたくない」と必死に戦ってきた。ベンチでは中村祐、高橋昂らに助言する姿も。それもこれも「皆で勝って喜び合いたい」からだ。

 「4番の理想像は特にないです。ただ、勝敗の責任を負う。まだ仕事ができているとは思わないけど、他の人が苦しみを味わうくらいなら、ボクが頑張ればいいかな…と」

 今季初めて芽生えた4番としての自覚。強打はもちろん、行動でも引っ張った。勝って皆で喜ぶ―。3連覇は24歳の勲章だ。

 「去年は試合に出られなかったけど、一昨年はCS、日本シリーズで迷惑をかけて悔しかった。今年は自分が打って、チームに貢献できたらいい」

 丸と並ぶ広島強力打線の2枚看板。若き4番打者は、日本一を目指す大舞台で大暴れを誓っている。

 《セ初2桁得点完封V》広島がスコア10―0で快勝。優勝決定試合で完封勝利は16年日本ハムの1―0以来で、セでは95年ヤクルトの5―0以来。チームでは75年に4―0、91年に1―0で勝って以来3度目になった。また、2リーグ制後、2桁得点の完封勝利で優勝を決めたのは、86年西武の10―0以来32年ぶり2チーム目。セでは広島が初めてだ。

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