【黒田氏特別寄稿】ボク同様に不器用な大瀬良 体の使い方覚えて変わった

[ 2018年9月27日 10:00 ]

セ・リーグ   広島10―0ヤクルト ( 2018年9月26日    マツダ )

3連覇を果たした広島の勝因や戦いぶりを語った黒田氏
Photo By スポニチ

 メジャーリーグから古巣・広島に復帰し、黄金時代の土台を築いた黒田博樹氏(43)が昨年優勝時に続いてスポニチ本紙に特別寄稿した。

 純粋に、凄いと感じる。巨人以外では初のセ・リーグ3連覇。2年前まで一緒にプレーした選手たちが、何だか違う世界の人のようにまぶしく見える。

 今季もまた、打線の破壊力で勝つ試合が目立った。とりわけ、丸、鈴木の活躍は特筆ものだ。投手は俊足の1番・野間を迎えた時点で3、4番が頭にちらついていると思う。

 投手心理からすると、カープ打線と対すると打者1人ではなく、後ろの何人かとも勝負している感覚。もっと言えば、打者8人と勝負する1対8の感覚ではないか。下位にも3割打者の西川、会沢が控える。絶えず「この打者を抑えないといけない」「抑えたらまた次」と重圧を受ける。

 先発投手では大瀬良。成績はもちろん、投球内容も素晴らしく、立ち姿すら変わってきた。自信だろう。

 本人が自ら語り、新聞記事にもなっているので明かすが、僕が現役を引退した16年暮れ、相談を受けて手塚一志さんを紹介した。動作解析の専門家。僕自身もお世話になっていた。彼は僕と同じで器用なタイプではない。当時はどの方向に進めばいいか迷っていたと思う。ただ、体の使い方を覚え、投球の中でのポイントが分かればば変わるだろう…という思いがあった。

 今季は、体をどう使ったからいい投球ができ、どういう配球をしたから勝てた、などの分析がうまくできているのではないか。求められれば今後も、どんな投手にも120%手助けするつもりだ。

 ブルペン陣では、中崎の頑張りが大きい。高い意識を持ってコンディションを維持して、3年間ずっと終盤の要所を担ってきた。ましてや今季は、前を投げるセットアッパーが何人も入れ替わっていた。それができるのも、9回に彼がいるからこそだ。

 願わくば、打線が破壊力を維持する間にエースと呼べる存在が出てきてほしい。3年連続で15勝投手が生まれたが、翌年失速のケースが目立つ。絶対的な柱が台頭すればチームはもっと強くなる。

 最後に新井に触れたい。同じ年に復帰したが、3連覇にはもちろん、僕にも大きな存在だった。戦力として真剣勝負で現役生活にピリオドを打てる。これほど幸せな終わり方はない。新井らしく全力プレーで最後を飾ってほしい。(元広島投手)

続きを表示

この記事のフォト

2018年9月27日のニュース