3年前から“丸ノート” ケガ乗り越え昨季MVP超えの好成績

[ 2018年9月27日 09:00 ]

セ・リーグ   広島10―0ヤクルト ( 2018年9月26日    マツダ )

25日のDeNA戦で試合中にメモをとる丸
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 込み上げてくる喜びが止まらない。広島・丸は3連覇の瞬間、体を反転。スタンドに向かって両手を突き上げて2度、ジャンプするとバンザイでマウンドの歓喜の輪へとダッシュした。

 「当然、優勝はうれしい。ファンが喜んでいるのを見て、またさらにうれしかった」

 初回1死二塁、ブキャナンのチェンジアップを中前へ先制打。自らの球団記録を更新する45試合連続出塁で猛攻の口火を切り、優勝目前で足踏みしていた呪縛を解き放った。

 右太腿裏(ハムストリング)筋挫傷で4月下旬から約1カ月、18試合に及ぶ欠場がありながら、2年連続MVP候補に挙がる活躍で引っ張った。要因には「下準備がしっかりできていること」を挙げる。3年前から打席後にベンチで付け始めた“丸ノート”もその一つだ。

 「そんなに精密に書いているわけじゃく、シーズン中に感じたことを適当に書き留めているだけですよ」

 謙遜しても中身は濃い。ルーズリーフは9分割の配球表とメモ欄で構成され、「配球はスコアラーさんが見てくれているのでザックリ。球種の使い方や攻め方の傾向が見えることもあるけど、それは主にしていない。メモ欄が大事です」と明かした。

 書き込むのは投球時のクセや間合い、タイミングを取る際の感じ方、さらには球筋など。例えば、足を着地させてすぐに投げる投手がいれば、逆に長い投手もいる。

 「スコアラーが載せないところのデータが重要。クイックタイムはあっても投げる間合いは書かれていない。構えてすぐに投げられると対応しづらいし、それ(メモ)があるのとないでは違う。書くと覚えますからね」

 当時の石井琢朗打撃コーチ(ヤクルト)がナインに配ったルーズリーフを活用。記述は対戦の少ない投手への取りこぼしを防ぐため、先発より中継ぎの方が細かい。「昨秋キャンプで過去2シーズン分をクリアファイルにまとめた」。その厚みはどんどん増している。121四球は史上11位タイ。故意四球を引いた115四球は01年に114個を選んだ松井秀喜(巨人)を抜き、史上最多だ。データに選球眼も加わり、出塁率は驚異的。リーグ最多に並ぶ38本塁打の強打と両立させた。

 戦いは終わりではない。昨年はCSファイナルSで敗退。「去年の悔しさを生かして、この後のCS、日本シリーズを戦っていきたい。選手全員、新井さんと一日でも長く野球がしたいと思っている。その気持ちを持って戦いたい」。3連覇は通過点。34年ぶり日本一を目指す赤ヘルの中心に丸がいる。 (桜井 克也)

 《出塁率と長打率でリーグ1、2位独占も》昨年MVPの丸は今季打率.324、38本塁打、95打点。選んだ四球はリーグ断トツの121。広島でシーズン100四球以上は他に01年金本128四球、14年丸100四球といるだけ。1人で2度は丸が球団初と選球眼のよさが目立った。鈴木は打率.321、30本塁打、91打点と昨年に続き打撃3冠部門の10傑入りが濃厚。2人が同じ試合に打点を挙げるとチームは21勝2敗、勝率.913と相乗効果を生んだ。丸は出塁率、長打率がリーグ1位、鈴木は両部門で2位。同一球団のコンビで出塁率、長打率がリーグ1、2位独占なら史上4組目(8度目)。広島では初めてになる。

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