16歳結城 ロイヤルズと契約 GM「ネクスト・ダルとして育てる」

[ 2018年7月9日 05:30 ]

入団会見で球団旗をバックにポーズを決めるロイヤルズ・結城(撮影・後藤 正志)
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 ロイヤルズとマイナー契約を結んだ結城海斗投手(16)が8日、大阪府内で会見を行った。今春中学を卒業したばかりの最速144キロ右腕は、日本の高校に進学せず、日本選手としては史上最年少で大リーグに挑戦する「異例の道」を選択。大阪・羽曳野出身で故郷の英雄となるダルビッシュ有投手(31=カブス)を目標に掲げ、8月にも渡米する。

 フラッシュを浴びると、5月で16歳になった少年の表情は緊張感が浮かんだ。前代未聞の挑戦を決断した結城は「甲子園よりもアメリカで早く野球をしたいという思いが強くなった。不安もあるが、期待の方が大きい」と抱負を語った。

 河南リトルシニアに所属していた昨夏、シニアリーグ日本代表として出場した米国の国際大会が転機。1メートル88の長身から繰り出す140キロ超の直球にスライダー、カットボール、ツーシーム、スプリットと球種は豊富だが、「体格やパワーが全然違う」と米国野球に憧れた。国内の強豪校から誘いも受けた。「英語は全然話せない」と笑うが、中学卒業後は英会話を勉強しながらジムや古巣などで練習を積んできた。

 ロイヤルズの大屋博行スカウト(52)は河南リトルシニアのアドバイザーを務める。本人の意向を知っていたが、接触することなく「中学時代のダルビッシュより変化球は上」とデイトン・ムーアGMに報告。「ネクスト・ダル」として、球団から「ぜひ、うちで育てよう」との回答を得て、交渉解禁となる今月2日以降に両親らと面談を行った。

 契約期間は7年間。大リーグ機構コミッショナーの契約承認など手続きが整い次第、8月にも渡米する。アリゾナ州のキャンプ施設で育成プログラムに参加。来季以降はルーキーリーグに入る予定だ。ダルビッシュは故郷の大先輩で、小学時代に所属した「羽曳野ブラックイーグルス」、3月まで通った中学も同じ。「5、6年で上に行けたらと思う。目標はダルビッシュ投手」。その目は希望に満ちあふれていた。 (康本 園子)

 ▼ダルビッシュの父・ファルサさん テレビのニュースで見ました。有も中学時代に(エンゼルスやブレーブスから)話があったけど、甲子園に行きたかったから最終的に日本の高校を選んだ。頑張ってほしいですね。

 ◆結城 海斗(ゆうき・かいと)2002年(平14)5月12日生まれ、大阪府羽曳野市出身の16歳。小学1年から道明寺レッドタイガースで野球を始め、同3年からは羽曳野ブラックイーグルスでプレー。中学1年から河南リトルシニアに所属。2年で全国8強。3年夏には日本代表として米イリノイ州で開催されたリトルシニア全米選手権に出場。1メートル88、73キロ。右投げ右打ち。家族は両親と弟。

 ▽10代半ばでのプロ入り 大リーグ球団では06年に島袋涼平が16歳でブレーブスと契約。おかやま山陽を中退後、17歳になる年だった。マック鈴木は滝川二を中退後、16歳で独立リーグのサリナス入団。93年に18歳でマリナーズとマイナー契約を結んだ。日本球界では、ドラフト制以前の1936年に西沢道夫が15歳で名古屋(現中日)にテスト入団。ドラフト制以降では、04年に阪神が8巡目に15歳の辻本賢人を指名した。

 ≪「ドラフト対象外」&「16歳以上」≫

 現行ルールで大リーグの球団がドラフト対象外の選手を獲得できる年齢は16歳以上。現役ではヤンキースの正捕手サンチェス、OBでは殿堂入りの名捕手イバン・ロドリゲス氏らが16歳で契約した。1984年にブルージェイズがドミニカ共和国出身のジミー・ケリー内野手と史上最年少の13歳で契約し、年齢制限が定められるようになった。ドラフト対象は米国、カナダ、プエルトリコの高校、短大、大学および独立リーグに在籍する選手で、高校生は最終学年が指名対象。

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