【石井一久 クロスファイア】ダル&マエケン 世界一へ欠かせないピースに

[ 2017年10月11日 11:30 ]

ナ・リーグ地区シリーズ第3戦   ドジャース3―1ダイヤモンドバックス ( 2017年10月9日    チェース・フィールド )

ドジャースのダルビッシュ(AP)
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 ドジャースが最初の関門を3連勝で突破したが、何よりワールドチャンピオンをつかむための「形」ができたのは大きい。まずは先発のダルビッシュ。4回、変化球を打つのがうまい3番のゴールドシュミットに対しては3球連続の力勝負で追い込み、最後は外角への切れ味鋭いスライダー。4球とも完璧だった。

 ただ、彼のポテンシャルからすれば、この日のスライダーの曲がりや角度は本人も納得していないのではないか。右打者にはこの辺から曲げるというイメージがつきやすいので、調整できていたが、左打者には内角を狙ったスライダーやカットボールがひとつ中に入ってしまい、5回にデスカルソに打たれた球もそうだった。結果的に見逃し三振を取れた球もあったが、膝元にグッと曲がったり、ベース板の上に落とすのが本来の軌道だ。

 それでも本塁打1本に抑えたのはさすが。ダルビッシュは、ワールドチャンピオンになるためにチームが獲得した投手であることは誰もが分かっている。その重圧や緊張感はあったと思うが、しっかりと役割を果たした。ドジャースの先発4枚では唯一の右腕なので、首脳陣にも頼もしく映ったに違いない。

 そして、4番手でリリーフした前田。ロバーツ監督が、2点リードの8回に送り出したということは、キーマンとして期待している証拠だ。ポストシーズンになると、8回の継投が、勝敗を分けると言っても過言ではなく、多くのチームが4アウト、あるいは5アウトセーブの状況でクローザーを投入する。前田はどんなカウントでもいろいろな球種でストライクが取れ、四球も少ないので、リリーフの適性もある。1イニングなら直球で空振りを取れる球威もある。

 8回を任せられれば、抑えのジャンセンの負担も減る。まだまだ長いポストシーズンを見据えた時、ロバーツ監督に新たな引き出しが増えた試合だったのではないか。

 レギュラーシーズンを30球団最高勝率で終えた今季。初戦の地元ロサンゼルスの盛り上がりを見ても、ファンは「今年こそは」と信じている。88年以来の世界一へ、ダルビッシュと前田は欠かせないピースだ。 (本紙評論家)

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2017年10月11日のニュース