岩隈、ド軍超え好待遇 3年最大57億円「普通にやれば達成できる」

[ 2015年12月20日 06:08 ]

会見で笑顔を見せる岩隈(AP)

 フリーエージェント(FA)となっていたマリナーズと再契約を結んだ岩隈久志投手(34)が18日(日本時間19日)、本拠地セーフコ・フィールドで会見。3年総額4500万ドル(約54億4500万円)で一度は合意したドジャースと16日午前に契約見直しとなってから約48時間後の残留会見となった。年俸1000万ドル(約12億1000万円)の単年契約ながら、最大で3年総額4750万ドル(約57億4750万円)となるオプション付きの契約内容も判明した。

 晴れやかな笑顔に安ど感が漂った。「ハロー・エブリワン。ザ・ベアー・イズ・バック・イン・シアトル!」。クマは戻りました――。英語で喜びの第一声に続き、岩隈はマ軍への感謝を口にした。

 「ドジャースと再交渉になり、真っ先にマリナーズが連絡をくれた。一番、必要とされるところでプレーしたいという思いがあった。熱意、愛を一番、感じて決めさせていただきました」

 ドラマチックな展開だった。ド軍から身体検査の結果で再交渉を要求されたのは「2日前(16日)の午前中」と岩隈。その情報を得たマ軍のジェリー・ディポトGMは、即座にハワード・リンカーンCEO(最高経営責任者)に相談すると、わずか30秒でOKが出た。ただ、すでに今オフの補強で来季の総年俸予算1億3000万ドル(約157億3000万円)にほぼ到達。追加の出費にはオーナーグループの任天堂アメリカの承認が必要だったが、この決断も早かった。「5分以内にみんなでこれでいこうと、すぐに意思疎通が図れた。こういうことはめったにない」とディポトGM。ド軍の契約見直し要求から約3時間後の16日午後、岩隈の元に新たな条件提示が届いた。

 シーズン終了後の独占交渉期間では、2年契約しか提示できなかったマ軍は発想を変えた。地元メディアは、年俸1000万ドルの1年契約は、実はド軍を上回る可能性を残すオプション付きと報道。来季、162投球回達成なら17年は年俸1400万ドル(約16億9400万円)、17年も162投球回か、16、17年の2年で計324投球回以上なら18年は年俸1500万ドル(約18億1500万円)で契約が自動更新される。さらに、毎年投球回に応じた出来高も設けた。満額ならド軍の提示を250万ドル(約3億250万円)上回る。岩隈も「4年間、やってきた実績もあるし自信もある。普通にやれば達成できる」と自信を見せた。

 昨年1月に右手中指の腱を損傷し、今年4月には右広背筋を痛め、ド軍から問題視された健康面について、岩隈が「めちゃくちゃ元気。状態はいい」と言えば、ディポトGMも「クマはここに4年いる。どこよりも我々が知っている」と一蹴した。

 ド軍との物別れから約48時間後、シアトルで笑顔を見せた岩隈。「やっぱり僕はこのシアトルで戦う使命があると感じることができた」。愛着が責任感を大きくした。(シアトル・笹田 幸嗣通信員)

 ≪4年間平均は163回1/3≫岩隈はメジャー1年目の12年に30試合登板し、うち先発16試合、中継ぎ14試合で125回1/3を投げた。13年以降は全て先発で同年が33試合で219回2/3、14年が28試合で179回。今季は故障で離脱するなど20試合で129回2/3だった。メジャー4年間では通算653回2/3で、1年平均は163回1/3。契約自動更新に設定されている162回を上回っている。

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