完封の大谷“3年目の進化”スーパークイック 楽天コーチ脱帽

[ 2015年4月20日 06:23 ]

<楽・日>8回1死二、三塁、松井稼を遊直併殺に打ち取り、ガッツポーズの大谷

パ・リーグ 日本ハム3-0楽天

(4月19日 コボスタ宮城)
 これぞエースの投球だ。日本ハム・大谷翔平投手(20)は19日、楽天打線を4安打に抑え、今季初完封でハーラー単独トップとなる開幕4連勝を飾った。連続無失点イニングを自己最長の22回に更新。昨季まで課題としていたクイックモーションのタイムも大幅に短縮し、楽天自慢の機動力も封じた。防御率はついに0点台(0・94)に突入。3年目の右腕に死角は見当たらず、初の個人タイトルとなる月間MVPも見えてきた。

 吠えた。叫んだ。グラブを思い切り叩いた。3―0で迎えた9回2死。「最後は意識して(三振を)狙いにきました」と、大谷はペーニャを外角高めの154キロ直球で空振り三振に仕留め、杜の都で感情をむき出しにした。自身3度目の完封だが、111球は最も少ない球数だった。

 「要所、要所で守備にも助けられ、ゼロでいくことができた。直球は良くなかったけど、(捕手の)近藤さんにうまくリードしてもらった」

 初回は2四死球を与え「いつもハラハラの立ち上がりで申し訳ない」とピンチを背負った。4回2死一塁ではサンチェスの左翼への大飛球を西川が好捕。8回1死二、三塁では松井稼の中前に抜けそうなライナーを遊撃の中島が横っ跳びでつかんで併殺を完成させるなど、守備に助けられた。ただ、大谷自身も接戦で1点も与えない術(すべ)を身に付けていた。

 1点リードの6回2死一塁。4番・ペーニャの場面で、一塁走者の銀次がスタートを切ったが、素早いモーションで投げ、捕手・近藤が二盗を阻止した。この時のクイックモーションのタイムは、1・01秒。通常、投げ始めてから捕手が捕球するまで1・20秒が合格ラインだが、大谷の昨季平均タイムは1・28秒だった。今季はキャンプ中からセットポジションで構えたグラブ位置を低く修正し、無駄な動きのないフォームを模索。大幅にタイムを短縮し、ピンチの芽を摘んだ。楽天の平石打撃コーチも「特に走者一塁の場面で去年より相当速くなっている。1・1秒を切れば、スーパクイックと呼んでいる が、その部類 に入る」と脱帽するしかなかった。

 最速は156キロ止まりも、被安打4で7奪三振。チームが今季初めて連敗を喫した翌日の試合で完封し、連続無失点イニングを22回に伸ばした。「きょう負けたらズルズルいく展開だったので、勝利のために1イニングでも多く投げたかった」。まさにエースの言葉だった。

 ハーラー単独トップの4勝目。今月はあと1試合登板を残しており、初の個人タイトルとなる3・4月度の月間MVPを完全に射程圏に捉えた。「ピンチの時の声援が力になった」と大谷は言った。これでコボスタ宮城では入団から3勝無敗。東北出身の20歳の怪腕に、ファンの垣根を越えた熱い視線が注がれた。

 ▼日本ハム・栗山監督 試合の流れに追われるのではなく自分でコントロールできている。

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