藤浪「恥ずかしい」1勝 続投希望も「ダメ」5回3失点降板

[ 2015年3月30日 06:45 ]

<神・中>5回2死一、三塁、ナニータを二ゴロに仕留め、雄叫びを上げる藤浪

セ・リーグ 阪神10-8中日

(3月29日 京セラD)
 今季初勝利を挙げた阪神・藤浪に、笑顔はなかった。3年目で初のシーズン初登板勝利にも「5回で勝ちを付けてもらっても仕方ない。むしろ恥ずかしいくらい」。5回9安打3失点で勝利を付けてもらっていては、一人前とは言えないからだ。

 不運もあった。初回1死一、三塁。ルナを三ゴロに仕留めた。だが二塁封殺から一塁に向けた上本の送球が、一塁走者・森野の右手に直撃。併殺でチェンジのはずが、1点を失ってなおも2死二塁となった。「(ルナを打ち取って)気が緩み、予想外のプレーに締め直すことができなかった」。後続に3連打を浴び、計3点を失った。

 2回以降は粘投も、5回95球で無念の降板。「中西コーチに(続投希望を)言いましたが、ダメと言われました。行かせてもらいたかった」。悔しさ、不甲斐なさが胸中にあふれた。

 進化して臨んだ3年目だった。オフのテーマは「球持ち」向上。そのためフォーム改造に着手した。昨季までスリークオーター気味だった腕の振りを、今季からオーバースロー気味に変更。「横回りでも体に絡んでくればスリークオーター気味でもいいと思っていたんですが、安定感を求めるなら、しっかり上から叩いた方がきれいな真っすぐも投げやすい」。同時に「左肩から真っすぐ打者に向かっていくこと」を意識し、半身になる時間を長くした。真上から叩くイメージで腕を繰り出し、体の軸に絡めて投げることで、「球持ち」を追い求めた。

 腕の振りの軌道修正に伴い、直球の回転も縦回転に変更。持ち味の荒々しい回転を修正するのは勇気のいる決断だった。「吉と出るか凶と出るか分かりません。もしかしたらシュート回転する球の方が打者は嫌かも」。キャンプ中のブルペンで「原点」右打者の外角低めへの投球練習を繰り返した上で、実戦登板でも手応えをつかんでいた。

 この日は思い通りの投球ができなかった。苦手とする左打者にも18打数7安打と苦しんだ。とはいえ、随所に進化の跡も見せた。5回2死一、三塁、左のナニータを詰まらせたのはスピンの効いた149キロ内角直球。磨き上げてきた直球の確率が上がれば、そう簡単に崩れない。「(課題は)直球の抜けと微妙なコントロール。あとは試合の感覚をつかみたい」。次回登板予定は4月5日・巨人戦(東京ドーム)。勝利を笑顔で彩ってみせる。

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