【石井一久氏が分析】黒田はストライクゾーンを広く見せる

[ 2015年3月9日 08:00 ]

<広・ヤ>圧巻の投球を見せる黒田

オープン戦 広島1-0ヤクルト

(3月8日 マツダ)
 広島・黒田の凄さを示す一球が、4回先頭で藤井を見逃し三振に打ち取った場面だ。左打者の内角ボールゾーンからストライクゾーンに入ってくる、いわゆる「フロントドア」のツーシーム。

 試合後、藤井に聞くと「ボールだと思って目を切ったら、そこから入ってきた」と答えた。普通、投手はボール球を使って打者を誘い、ストライクゾーンを大きく見せる。しかし、黒田はストライクゾーンの中だけで、人より広いストライクゾーンに変えることができる投手だ。

 「フロントドア」を意識させることで、次は内角の同じコースにフォーシームを投げても打者の判断は一瞬遅れる。ボール1個外す必要はない。あるいは同じコースからカットボールを投げて詰まらせることもできる。つまり、一つのコースで3つのストライクの取り方ができるのだ。

 メジャー時代の黒田はツーシームが投球の中心だった。日本の公式球はメジャーの球ほど動かないが、動くのが遅いので、小さな曲がりでも十分。大事なのは動く「幅」ではなく、いかに途中まで真っすぐに見えるかということ。右打者には5回に畠山を空振り三振に仕留めたように、内角ツーシームを意識させることで外のスライダーが生きてくる。

 この日はカウント球の切れは勝負球ほどではなかった。本人の感覚的にもまだ試運転の状態だろう。もともと6月以降に調子を上げてくる投手。この時期としては十分すぎる投球内容だったと思う。

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2015年3月9日のニュース