米ファンも期待したマー君連勝記録 現地NYメディアを魅了

[ 2014年5月23日 07:35 ]

メジャーでも開幕6連勝と快進撃を見せたヤンキースの田中

 「マサヒロははたして負けるのか?」

 そんな見出しがつけられた、田中将大(ヤンキース)関連の記事をESPN電子版で見つけた。この記事が書かれた数日後、現地時間5月20日のカブス戦でメジャー初黒星を喫してしまったが、いかに田中が素晴らしいかについて言及しているので、続けて紹介したいと思う。

 「タナカはメジャー移籍後初となる完封勝利をメッツから挙げた。救援陣に一息つかせる価値のある勝利。8個の三振を奪った一方で与四球はゼロ。浴びた安打はわずか4本だ。打ってはメジャー初安打も飛び出した。これでタナカはヤンキース入団以来、6勝0敗、防御率2.17。ヤンキースのルーキーとしては1950年のホワイティー・フォード(WHITEY FORD)の9勝0敗以来のロケット発進。しかも8登板で通算奪三振66に対し、与四球はわずか7だ」

 デビュー8戦目時点でのK/BB(与四球と奪三振の比率)の値は長いメジャーリーグの記録を紐解いても田中が歴代1位なのだという。日本で応援しているファンにとっても実に嬉しい快挙だ。

 「タナカはずいぶん長い期間、公式戦で黒星を喫していない。最後の負け投手は日本時代の2012年8月19日までさかのぼらなくてはならない。彼は公式戦で先発した過去42試合で負け投手になっていないのである。繰りかえす。42試合もだ!」

 国をまたぎながら、とてつもない記録を継続中なのだと、あらためて思い知らされる。

 「タナカは7つの球種を持っている。時に彼がどの球種を選択するのかをメッツは予想しえたという。しかし、それはタナカになんの影響も及ぼさなかった。この日、4本のヒットのうちの1本を放ったダニエル・マーフィーは『なにがくるかはわかっていた。しかし打てなかった』と脱帽のコメントを発した」

 さらには、ヤンキースのジョー・ジラルディ監督の「5回に突入して球数をみたら、まだ50数球しか投じていない。彼は、わが組織にとって求められている仕事を着実にこなしている。そして登板のたびにさらにステップアップを遂げている」と田中に全幅の信頼を寄せていることが十二分に伝わってくるコメントを紹介。

 「タナカは101球で9回に突入。2アウトを奪うのに11球を要したところで、ジラルディ監督は次のライトの打席を終えたところで投手交代と決断していた。しかし、タナカはスプリットでライトを打ち取った」と結果的に完封となったが、チームで定めた球数をあくまでも優先する方針だったヤンキースベンチの舞台裏も明かした。

 サイトのコメント欄をのぞくと賛辞のコメントの数々を発見。その中には「日本人プレーヤーはお金が主目的でアメリカに来てるわけじゃない。彼らはアメリカの地で成功したいんだ。自分のように日本の野球マンガ『MAJOR』を読んでいればそういったことが理解できるようになる」という興味深いコメントもあった。

 アメリカのメディアもファンも「彼は2度目の24勝0敗シーズンの4分の1地点のところまできた」と、本気で伝説が生まれることを思い始めていた……のだが、残念ながら夢見る記録は途絶えた。それでも、全米一厳しいといわれるニューヨークのメディアを虜にした田中将大への期待は、たかが1敗でとどまることはないだろう。(『週刊野球太郎』編集部)

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2014年5月23日のニュース