斎藤 有終4冠に王手!連投で日本一決める

[ 2010年11月17日 06:00 ]

<神奈川大・早稲田大>決勝も投げる!?とばかりにキャッチボールに臨む早大・斎藤は先発し5回1失点の好投

 有終4冠王手だ。明治神宮大会第4日は16日、神宮で準決勝が行われ、神奈川大戦に先発した早大の斎藤佑樹投手(4年)は5回1失点の好投。勝利投手は大石達也投手(4年)に譲ったが、巧みなゲームメークで4―1の勝利に貢献。チームを決勝に導いた。17日の決勝で東海大に勝てば、早大は初優勝。これまで甲子園、国体、全日本大学野球選手権と最高峰を制している斎藤にとって、全国4冠目となるタイトルに手をかけた。

【試合結果


 楽しくて仕方がない。優勝に王手をかけた斎藤は、あの夏と同じ少年のような笑みを浮かべながら、決勝を前にした心境を語った。
 「(06年甲子園の決勝再試合前の心境と)凄く似ています。全く緊張していません」
 人気だけでプロ4球団はドラフト1位指名しない。その理由が凝縮されたシーンは、1点を先制した直後の3回2死一塁の場面。走者は俊足・北野。「きょうは感覚が凄くよかったです」。セットポジションの斎藤は首を左にねじり、左目の端で北野をとらえる。その首をわずかに打者に対して戻した瞬間、すかさず反転して一塁にけん制。セーフ。2度目のけん制もセーフ。だが早実時代に和泉監督から「感覚を大切に。18・44メートル離れた打者のにおいをかぎ分けろ」と教えられてきた斎藤は、この2球のけん制で、においを感じ取った。この走者は必ず走る。
 初球は141キロの直球が外角高めに外れカウントは1ボール。この瞬間、敵将の古川監督は「よしっ」と思ったという。
 「カウント0―2にしたくないから、あそこで外すことはしない」。古川監督は今夏の世界大学野球選手権で大学日本代表のコーチとして斎藤とともに世界と戦った。けん制のうまさは熟知している。だが初球がボールになったことでチャンスと感じた。斎藤の左足が上がる。「行ったあ」。早大ベンチから盗塁を知らせる声が飛ぶ。しかしその声が耳に入るより早く、平然と外角高めにウエストしていた。これが早大のエースを張る男の凄みだ。「さすが。0―2になってもカウントを整える自信があるから外せるんでしょう」。2メートル手前で北野がアウトになるシーンを見せつけ、敵将を、ただ脱帽させた。
 斎藤は5回1失点で降板。勝ち負けはつかなかったが、投手としての完成度の高さを証明した。「前回は直球の走りが良くなかったので、力を抜こうと思ってました。内容自体は悪くなかったです」。14日の愛知学院大戦から中1日。しっかりと課題を修正してきた。
 高校時代には甲子園と国体。早大では1年春に全日本大学野球選手権で優勝した。手にしていない全国タイトルはこの明治神宮大会だけ。あの高3の夏以来、頂上を走り続けてきた右腕にとって、これが学生最後の全国舞台でもある。「もちろん言われなくても行くつもりです。勝つ自信はあります」と3連投となる決勝での登板も志願。すべてのタイトルを総なめにして、斎藤祐樹は学生野球を卒業する。

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2010年11月17日のニュース