鈴木完封!早実リベンジVで4年ぶり甲子園

[ 2010年7月27日 06:00 ]

<早実・日大鶴ケ丘>甲子園出場を決め、マウンドで歓喜する早実ナイン

 第92回全国高校野球選手権(8月7日開幕、甲子園)の地方大会は26日、21大会41試合を行った。西東京大会決勝では、早実が、鈴木健介投手(3年)の快投もあり2年前に敗れた日大鶴ケ丘に3―0で完封勝ち。斎藤佑樹投手(早大4年)を擁し全国制覇を遂げた06年以来、4年ぶり28度目の出場を決めた。神奈川大会準々決勝では、東海大相模が2年前の決勝で敗れた慶応を下した。また宮城大会決勝では、仙台育英が大会史上最多の32安打28得点を挙げ、大勝した。27日は東東京など、9大会で決勝が行われる。

【26日の結果


 【西東京・早実3-0日大鶴ケ丘】スコアボードに9個の0を並べた。4年ぶりの歓喜。鈴木はマウンドの輪の中心で拳を突き上げた。「2年前に相手の大騒ぎの中で涙した。その悔しさを晴らしました」。2年前の決勝で敗れた日大鶴ケ丘を5安打完封。名門のエースは言葉を弾ませた。
 気迫のピッチング。1点リードの5回2死一、二塁。マウンドを襲った代打・志賀の鋭い打球に右足を伸ばして甲に当て、一ゴロにした。抜ければ同点打の打球に体を張った。「足を出すなんて初めてです。気持ちが上回った」。1年だった08年の日大鶴ケ丘戦は2番手で4回2安打も4失点。2年の09年センバツでは3試合で10回2/3を1失点と好投したが、あの夏の悔しさが打球を足で止める執念につながった。
 前回出場の06年夏は斎藤佑樹(早大)が2日間計24回296球を投じて駒大苫小牧を制するなど、伝説とともに頂点に立った。その偉業は73人の全部員が胸に刻んでいる。比較されるが、新しい歴史をつくろうとナインも必死だ。主将の土屋は秋季大会後、部員に目標を書かせ、ロッカールームに張らせた。土屋は「信頼MAXの捕手になる」と書き込んだ。「まだまだです」と謙そんするが、鈴木はその主将の構えたミットに無心で投げ込めばよかった。
 OBの大矢明彦氏(元横浜監督)らがスタンドで見届ける前での快挙。和泉監督も「想像を超えた戦いだった。この子たちは勝手にいろいろやる。まだ成長する」と無限の可能性に期待する。
 偉大な先輩・斎藤は世界大学野球選手権で世界一に挑む。鈴木は言う。「斎藤さんなら世界一になるだろうし、その後は僕たちも日本一になる」。28度目の聖地に早実が立つ。新たな伝説をつくるために。

 ◆鈴木 健介(すずき・けんすけ)1992年(平4)4月25日、埼玉県川口市生まれの18歳。小1から「南7丁目少年野球クラブ」で野球を始め小4から川口リトル。里中では越ケ谷シニアで2年時に全国大会、3年時に日本代表でベネズエラの世界大会に出場した。早実では1年春からベンチ入りし、昨秋から背番号1。家族は両親と兄、妹。1メートル73、72キロ。右投げ左打ち。

 ▼ヤクルト・荒木投手コーチ 頂点を目指してもう一暴れするように頑張ってほしい。
 ▼ソフトバンク・王貞治会長 下馬評が高かったわけではなかっただけに、よく頑張ってくれたと思います。多くの早実ファンが待ち望んでいただけに、甲子園では大暴れしてほしいですね。

 ◆早実 1901年創立。OBに王貞治氏ら。

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2010年7月27日のニュース