セットで動揺…雄星 ボーク、四球連発

[ 2010年3月10日 06:00 ]

<教育リーグ 西・巨>2回1死満塁 加藤に先制タイムリーを打たれ悔しそうな表情を見せる雄星

 【教育リーグ 西武8-6巨人】西武の大物ルーキー・雄星投手(18)が9日、教育リーグ・巨人戦で初先発。気温2・5度と冷え込む中、2回を3安打3四球3失点とほろ苦いデビュー戦となった。初回は無失点も、2回に走者を許しセットポジションからの投球になるとボークや四球連発と課題を残した。プロの洗礼を浴びた新人左腕は、しばらくは2軍で“勉強の日々”を送ることになった。

 期待と不安が交錯したデビュー戦だった。2回3失点。「結果だけ見れば3失点だけど、やってきたことが形になってきたんで納得できるところもあった。でも悔しいところも半分あります」。雄星の表情は複雑だった。

 気温2・5度。ドームの外壁のすき間には雪がちらついた。初回は先頭の橋本に中前打(二塁で憤死)されたが、2番・藤村の3球目に最速144キロを出すなど3者凡退に抑え3743人の観衆から拍手を受けた。キャンプの投球練習は大半をノーワインドアップで行っており「腕も強く振れてストライクが入る自信もあった」と振り返る。

  本紙評論家・牛島氏 キャッチボールのときからボールをすぐトップの位置に持っていく捕手のような投げ方が気になっていたが、マウンドでも同じだった。テークバックが小さすぎる。制球を気にしてか早くトップの形をつくってしまう。だから体重移動の時間が短くなり、ためができない。押し出すような投げ方に見える。

 投球は2回に変わった。1死から小田嶋に左前打。セットポジションになると矢野への4球目にボークを宣告された。「コーチに“ちゃんと静止しないとボークを取られるぞ”と言われていた。投げ急いでしまった」。矢野、仲沢にストレートの四球を与え、満塁から加藤に直球を左前に2点適時打。さらに四球後の中犠飛で3点を失った。

 ノーワインドアップでは31球のうちボールは8球だったが、セットでは22球中15球がボール。球速も130キロ台前半に落ちるなど課題は明らかで「セットに入ったら動揺して置きにいってしまった。ストライクを入れないと」と反省した。

  牛島氏 セットポジションではクイックで投げようとして余計に体重移動が小さくなり、抜けるかひっかくか。制球が定まらないばかりか、ノーワインドアップより5キロ以上も減速していた。

 昨年9月28日の新潟国体・中京大中京戦(1回3者連続三振)以来の登板。実戦でのセットポジションは昨夏の甲子園準決勝の中京大中京戦以来だった。巨人打線は橋本、藤村、鈴木尚と俊足ぞろいでクイックを意識したことでリズムも崩れ「今後はセットの投球を増やしていかないと。セットでボールが低めに行けば次のステップにいける」と話した。

 小野2軍投手コーチは「全然だめ。一つ一つのことがきっちりできないと1軍に推薦できない」と厳しい口調。次回登板は未定で、結果を伝え聞いた渡辺監督は「これからグッと上がってくれば5、6月には出てくるかもしれない」と開幕後もしばらく2軍で調整させる方針を示した。

  牛島氏 去年のセンバツで見た雄星は左手をいったん下まで下ろし、ひじから上げていた。手が上がってくる間にしっかり体重移動し、上から叩く感じで腕を振る。ひじがムチのようにしなり、躍動感のあるフォームでスピンの利いた150キロの速球が投げられた。この日の結果は手がかじかむ寒さも考慮しなければならないが、今のままでは彼本来のひじのしなやかさが生かせない。まずは「間」が取れるテークバック。制球はしっかり腕が振れるようになってから考えればいい。

 今後は勉強の日々が待っているが、セットポジションでの投球という課題が分かったことが初登板の収穫となった。「次は結果を残して認めてもらいたい」と雄星は前を向いた。

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2010年3月10日のニュース