木村雄太 満塁ピンチK斬り!再出発の1勝

[ 2008年8月31日 06:00 ]

7回1死一、三塁で登板したJR東日本・木村

 【JR東日本4―2日本生命】第79回都市対抗野球第2日は30日、東京ドームで1回戦3試合が行われた。第2試合では、昨年3月に西武裏金問題で謹慎処分を受けたJR東日本の補強・木村雄太投手(23=東京ガス)が2年ぶりに東京ドームのマウンドに立ち、都市対抗2勝目を挙げた。第1試合は鷺宮製作所が延長12回にもつれこむ激戦の末にサヨナラでTDKを下した。第3試合はホンダが日本新薬にサヨナラ勝ちした。

【日程と結果


 どん底まで落ちたサウスポーが帰ってきた。06年以来2年ぶりの東京ドームのマウンドで木村が復活の白星だ。「出された以上抑えるしかないと思った。勝利投手になれたのは素直にうれしい」と喜びをかみしめた。
 出番は1点をリードの7回1死一、三塁の緊迫した場面だった。味方の失策で同点とされ、四球でなおも2死満塁の大ピンチ。それでも最後は空振り三振に仕留め、こん身のガッツポーズを決めた。その裏に味方が逆転。最速139キロの直球とフォークを武器に2回を投げ、4三振を奪った。9回途中で降板したが、再登板に備えて中学生以来となる一塁守備についた。これには「まさか守備につくとは…ボール来るなって思った」と苦笑いを浮かべた。
 昨年3月にプロから栄養費を受け取っていたことで、1年間の謹慎と対外試合出場禁止処分を受けた。今年3月に処分が解けたが、謹慎期間中は毎日、自分が投げている試合の映像を見て「野球は1人ではできない」ことを痛感。マウンド上でも冷静に周囲を見渡せるようになった。「謹慎の1年は本当に良い時間を過ごせたと思う。やってきたことは間違ってなかった」と胸を張った。ネット裏で視察した巨人・山下スカウト部長も「制球や組み立てがうまくなった」と成長を認めた。
 補強選手として帰ってきた木村は言った。「このチームの一員として日本一になりたい」。自信を取り戻した左腕の勢いは、加速する。

 ◆木村 雄太(きむら・ゆうた)1985年(昭60)5月21日、秋田県生まれの23歳。小4から野球を始める。秋田経法大付では2年夏から背番号1をつけ、3年夏の県大会8強。04年に東京ガス入社。家族は父、兄、姉、妹、弟。1メートル89、80キロ。左投げ左打ち。

 <日本生命 38歳・土井が2発被弾>経験豊富な38歳のベテラン・土井は不用意な失点を悔やんだ。味方が同点に追いついた直後の7回。3年目の杉浦監督は「下位打線は抑えてくれると思った」と送り出したが、ソロ2発であっという間に勝ち越しを許した。JR東日本は昨年敗れた相手だっただけに「チームはリベンジの思いで死にもの狂いだった。情けなさでいっぱいです」とガックリ。地区代表決定戦に続いて大一番の先発を、投手コーチ兼任の土井に頼らざるを得ないチームの苦しさも出てしまった。

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2008年8月31日のニュース