城島 レギュラー白紙に意地の1発

[ 2008年6月26日 06:00 ]

<メッツ・マリナーズ>3回、城島は左越え2点本塁打を放つ

 【マリナーズ11-0メッツ】オレが正捕手だ!マリナーズの城島健司捕手(32)が24日(日本時間25日)のメッツ戦の3回に左越え3号2ランを放った。優勝争いから脱落し、若手のジェフ・クレメント捕手(24)の優先起用方針が決定する中、3試合ぶりの先発出場で3安打の“猛打賞”。さらに投手陣を好リードで完封勝利に導き、首脳陣の一塁起用構想にも無言の反発。正捕手奪回へ向けた城島の戦いが始まった。

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 体を突き抜ける疲労感が心地いい。クラブハウスで汗をぬぐった城島は言った。「ケガもしていないのに試合に出ない経験はない。試合前は久しぶりに気持ちが高ぶった。出るゲームは存在感を示さないとね」。口元を緩めることも久々だ。
 3点リードの3回2死一塁。カウント1―2から内角に入った92マイル(約148キロ)直球を左翼席に運んだ。城島らしい、つまりながらも高い弧を描く3号。「いいつまりでしたね」。5月16日パドレス戦以来の手応えだった。7、9回には連続で左前に運び“猛打賞”を記録した。前日のメッツ戦先発は左腕サンタナながら左打者のクレメントが先発。「何をすればいいかな」とつぶやく姿があった。先発出場が日常となっていた城島にとってつらい時間だった。
 リグルマン新監督からクレメントを優先起用する方針を伝えられたのは22日。その日、スポーツ専門局「ESPN」では、4月に城島と3年総額2400万ドル(当時約24億9600万円)の契約延長をした球団を非難するとともに、城島の実力そのものを疑問視する内容の番組を放送した。マ軍不振の原因の一端を打率2割台前半と低迷する正捕手に向けたのだ。優勝争いから脱落した今、クレメント優先起用方針は変わらない。レギュラー白紙の状況下で城島ができるのは、少ない出場機会で結果を出すことだけだ。
 首脳陣は一塁での起用構想も持っており、城島にファーストミットでの守備練習を課している。黙々と練習をこなす城島だが本心は違う。「自分が持っているもの以上のことはできない。変えられない」。だからこそ序盤に大差がついても、捕手として妥協しなかった。先発した今季3試合で白星のないナックルボーラーのディッキーを7回6安打無失点の好投に導いた。「ナックルでストライクを取れないと真っすぐに頼りがちだった。これしかないんだと、ナックルを多めに要求した」。チーム今季4度目の完封勝利にも捕手にこだわる意地がのぞいた。
 「ゲームに使われないといけない選手でなきゃいけない」。起用法に文句を言うつもりはない。自分の力で先発マスクの座を取り返してみせる。

 ≪イチロー 適時打で勝利に貢献≫イチローも6回1死一、三塁から右前適時打を放って勝利に貢献した。カウント2―0と追い込まれながら、その後粘って8球目を運んだ。久しぶりの一方的展開で、ここまで全試合に先発出場しているイチローは7回の守りから退いた。試合後の会見も行わなかったが、城島の攻守の活躍で貴重な“休養”を取ることができたようだ。

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2008年6月26日のニュース