【Sスケート】高木美帆、笑顔の引退会見 今後は未定「目の前には真っ白な画用紙が広がっている」

[ 2026年4月7日 05:30 ]

<引退会見>笑顔でスケート靴をなでる高木美帆(撮影・五島 佑一郎)
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 夏冬通じ日本女子最多の五輪10個のメダルを獲得したスピードスケートの高木美帆(31=TOKIOインカラミ)が6日、都内で引退会見を開いた。銅メダル3つを獲得した今年2月のミラノ・コルティナ五輪に向かう過程で自らの理想像を体現し続けられず、引退を決断した。今後については未定で、当面は心身を休める予定だ。

 白いスーツに身を包んだ高木に涙はなく、晴れやかな門出だった。2時間にも及んだ引退会見。「ともに歩んできたスピードスケートとの時間がなくなることはない。私の思い出や経験として、そばにいてくれるもの。(今後は)自分の帆を目いっぱい広げて思うままに進んでいきたい」。全てを競技にささげた最強スケーターは潔く言い切った。

 26年間の競技生活を終え、ゆったりとした時間の中にいる。「時間を気にしないで過ごすようになったのは大きな変化」。起床の瞬間から練習や食事の準備をすることもなく「食事が楽しめるようになった」と笑う。だが、ふとした瞬間に喪失感がこみ上げる。「リンクで滑らないことを考えた時、内心では寂しいと感じる」と明かした。

 引退が頭をよぎったのはミラノ五輪前の1月だった。ドイツ・インツェルでの合宿中にホテルを出て歩き始めた時に「アスリートを辞める時なのかな」と悟った。15歳で10年バンクーバー五輪に出場し、4度の五輪で2つの金を含む通算10個のメダルを獲得。全ての行動にプロ意識を持つことを美徳とし、高め続けてきた。それでも「強い気持ちで、もっと上にいこうと自分を律して押し上げていくパッションが少しずつなくなっていると感じていた。最後の4年間は葛藤もあった」。ストイックに競技に向き合い続ける「自分の憧れのアスリート像」であり続けるのは難しく「引退を決断したというより、受け入れたという感じ」と語った。

 数々の金字塔を打ち立てたレジェンドは、静かに次の人生を考えている。今後は「全く未定」ときっぱり言うが、かねて興味を持つ「脳と体の関係」と「健康寿命」の2テーマについて見聞を深めていくつもりだ。「私の目の前には真っ白な画用紙が広がっている。今はそれを眺めながら、ゆっくりする時間を過ごしたい」。張り詰めた緊張感から解放され、自らの声に耳を傾けていく。

 【高木美帆の偉業アラカルト】
 ▽五輪メダル10個 4度出場し、計10個(金2、銀4、銅4)獲得。夏冬通じて日本女子最多。男子を含めれば体操の小野喬13個、加藤沢男12個に続く3番手。
 ▽W杯38勝 通算38勝(1000メートル13勝、1500メートル24勝、3000メートル1勝)は日本勢最多。2位は男子の清水宏保と女子の小平奈緒の34勝。
 ▽世界記録 19年3月のW杯ソルトレークシティー大会の1500メートルで1分49秒83の世界記録をマーク。現在も破られていない。
 ▽オールラウンダー 短距離から長距離まで4種目の合計で競う世界選手権オールラウンド部門で18年に日本人初制覇。計5回表彰台に上がる。

 《会見の締めは姉・菜那さん》オンライン含め39社111人の報道陣が出席した会見を締めたのは、平昌五輪団体追い抜きでともに金メダルの姉・菜那さん(33)だった。「最後に一言!」と挙手し「ファンの方々に一言」「美帆さんにいつか会えるタイミングはあるのか」と質問。SNSなどに届いた温かい言葉に感謝を述べた高木は「ぜひ姉の力を借りて何かできたら」と語り「姉が出てきたことで寂しい気持ちがスンとなくなってしまった。最後は笑顔で終われそう」と苦笑いだった。

 《平野歩夢サプライズ登場》所属先が同じスノーボード・ハーフパイプ男子22年北京五輪金メダルの平野歩夢(27)がサプライズで登場した。花束を贈り「同じ競技者として、自分との闘いがあったのかなと感じている。これまで競技人生ご苦労さまでした」とねぎらった。高木は「とってもビックリで頭真っ白。同じ所属で五輪に臨めるのは誇りだった」と驚いた様子で語った。

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