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新国立競技場25%縮小…コスト削減、開閉式屋根は設置へ

[ 2013年11月27日 05:30 ]

 2020年東京五輪のメーンスタジアムとなる国立競技場を管理・運営する日本スポーツ振興センター(JSC)は26日、都内で有識者会議を開き、新競技場の延べ床面積を約25%縮小する修正案をまとめた。約3000億円と試算された建設費の削減が狙い。列島が沸いた開催決定から2カ月半。五輪は“夢”だけでは実現できないというシビアな現実が浮かび上がってきた。

 流線形の柔らかなデザインが特徴的な新国立競技場。9月の東京五輪決定直後から何百回とメディアで紹介され、7年後の夢大会へ国民の期待をあおってきた。

 当初の計画では、延べ床面積が29万平方メートルで、現競技場に隣接する日本青年館や都営霞ケ丘アパートを覆うような形で建設される予定だった。

 総工費は当初1300億円が見込まれたが、下村博文五輪担当相が10月、周辺整備も含めて3000億円に達する可能性があるとの試算を公表。下村氏が「都の持ち分に該当しそうなところは、ぜひ検討していただきたい」と相当分の負担を求めたのに対し、猪瀬直樹都知事が「国立競技場はあくまで“国立”」と回答するなど、国と都の間で溝が広がっていた。

 この日まとまった修正案では、延べ床面積は約25%削減した22万平方メートルに。スタジアム内に設置予定のスポーツ博物館、レストランなどの商業施設も縮小し、駐車場も約900台から約600台収容に縮めるなどとし、全体の構造をコンパクトにするとした。

 現時点で建設費は本体工事1413億円、周辺整備372億円、現競技場解体67億円の計1852億円と見積もり、3000億円から大幅減。「可能な限り建設コストの縮減に努める」とした。

 売りである開閉式屋根は設置に100億~150億円かかるが、会議では「(コンサートなど)文化事業で有効活用して収入を得るためには必要」(小倉純二日本サッカー協会名誉会長)、「1年間で8万人規模のスポーツイベントはごく限られた回数しかない。文化芸術などのイベントはその数倍に上る可能性がある」(作曲家・都倉俊一氏)など、五輪後をにらんだ意見が続出。予定通り設置する方向となった。

 また、現競技場から約2万6000人増の約8万人とする収容人数も維持するとした。

 今後は政府内で調整を進め、基本設計に移る。JSCは19年3月までに改築を終える予定。

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2013年11月27日のニュース