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「トヨタ2000GT」富士24時間レースで完全優勝。日本最長レースで圧巻の走りを披露した名車中の名車!【今日は何の日?4月9日】

[ 2024年4月9日 08:00 ]

語り継がれる2台の2000GTとS800の1、2、3フィニッシュ

1967(昭和42)年4月8日~9日、ル・マン24時間をそのまま日本で再現させることを目的に開催された、日本最長の富士24時間レースが開催された。レースは、トヨタ勢の独壇場となり、4月9日午後4時に2台の「トヨタ2000GT」は1台の「トヨタスポーツ800」をサンドイッチにした編隊走行で余裕の1、2、3フィニッシュを飾った。

トヨタ2000GT
トヨタ2000GT

ヤマハとの共同開発で誕生した2000GTが衝撃デビュー

トヨタ2000GTが初めて姿を現したのは、1965年の第12回東京モーターショー。多くの観客の注目を集めた流麗なスポーツカー、それがトヨタとヤマハが共同開発した2000GTのプロトタイプだった。ロングノーズにリトラクタブルヘッドライトを組み込んだ流線型ボディに、インテリアにはローズウッド材のインパネやレザーのバケットシートなどを装備し、スポーティかつ高級感をアピールしたのだ。

トヨタ2000GT
1965年第12回東京モーターショーで初お披露目されたトヨタ2000GT

ヤマハ主導で開発した最高出力150psを誇ったエンジンは、2.0L直6 DOHCにソレックス3連キャブを装備、組み合わせたトランスミッションは5速MT。ステアリングはラック&ピニオン、サスペンションは前後ともダブルウィッシュボーン、ブレーキは4輪サーボ付きディスクと先進技術が満載。流麗なフォルムと先進メカニズム、トヨタのすべての技術を結集したスーパーカーだった。

2000GTの発売は、モーターショーの2年後、1967年5月だったが、トヨタは発売前にその卓越した性能を実証するため、プロトタイプをハイチューニングしたマシンでレースやスピードトライアルに挑戦したのだ。


「「トヨタ2000GT」富士24時間レースで完全優勝。日本最長レースで圧巻の走りを披露した名車中の名車!【今日は何の日?4月9日】」の1枚めの画像
1965年第12回東京モーターショーで初お披露目されたトヨタ2000GT

発売前にスピードトライアルで世界記録を達成

トヨタ2000GT
谷田部の日本自動車研究所高速試験場で日本初のスピードトライアルに挑戦したトヨタ2000GT

東京モーターショーの翌年、また発売の前年となる1966年10月1日~4日、トヨタは2000GTの性能をアピールするため、谷田部の日本自動車研究所高速試験場で日本初のスピードトライアルに挑戦。スピードトライアルとは、FIA(世界自動車連盟)の公認のもとで、文字通りスピードを競うチャレンジだ。速度記録は、絶対的な世界記録とクラス分けされたクラス最速記録に分けられる。

10月1日、ゴールを目指してスタート、最終的に3日後の10月4日に48時間/72時間/1万5000kmの世界記録と、13のEクラス国際記録を樹立。このチャレンジによって、2000GTの性能が世界トップであることを実証したのだ。


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谷田部の日本自動車研究所高速試験場で日本初のスピードトライアルに挑戦したトヨタ2000GT

富士24時間レースでも圧巻の走りで1、2フィニッシュ

トヨタ2000GT
富士24時間レースで1。2フィニッシュしたTOYOTA2000GT(オートスポーツ志1967年5月号より)

スピードトライアルに続いて、翌年の発売1ヵ月前に開催された富士24時間レースにも参戦。日本初の24時間レースは、ル・マン24時間レースをそのまま再現させることを目的に、1967年4月8日午後4時にスタートした。2000GTは、実現は叶わなかったが、最終目標としてル・マン24時間レースの優勝を目指していたという。

レースは、2000GTに(細谷/大坪)組と(津々見/鮒子田)組、加えて3台のトヨタスポーツ800がエントリー。ライバルは、外国勢に加えて「プリンス2000GT」、「ブルーバードSS」、「ホンダS600」、「フェアレディ」、「ベレットGT」だった。
レースが始まると、最初から2台の2000GTが先行、周回を増すごとに2台が他を引き離す展開に。そして翌4月9日午後4時に2台の2000GTが1台のS800をサンドイッチにした編隊走行で余裕のフィニッシュを飾ったのだ。
ちなみに優勝マシン(細谷/大坪)組の平均速度は134.7km/h、走行距離は3224kmだった。

トヨタ2000GT
トヨタ2000GT、富士24時間レース優勝

数々のレースでその性能の高さを実証した2000GTが市場に放たれたのは、1967年5月16日。車両価格も破格で、当時のクラウンの約2倍の238万円、大卒初任給が2.8万円程度(現在は、約23万円)の時代だったので、今なら2000万円程度に相当するであろう、まさしく庶民には手の届かないスーパーカーだ。


「「トヨタ2000GT」富士24時間レースで完全優勝。日本最長レースで圧巻の走りを披露した名車中の名車!【今日は何の日?4月9日】」の1枚めの画像
富士24時間レースで1。2フィニッシュしたTOYOTA2000GT(オートスポーツ志1967年5月号より)

トヨタ2000GTは、スピードトライアルと富士24時間レースでの栄冠によって、その性能が世界レベルであることを実証した。これは同時に、日本車が欧米車の尻尾を掴んだ証でもあり、歴史に残る名車中の名車と言われる由縁なのだ。
毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかもしれない。

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