可夢偉スタート失敗13位 来季シート暗雲も…
F1日本GP決勝
(10月9日 三重・鈴鹿サーキット)
自己最高の7番手グリッドを獲得した小林可夢偉(25=ザウバー)はスタートを失敗して13位に終わり、2年連続の母国GP入賞はならなかった。レッドブルのセバスチャン・フェテル(24)が3位でゴールし、4戦を残し最年少で2年連続総合王者決定。レースは2番手スタートのジェンソン・バトン(31=マクラーレン)が4戦ぶり今季3勝目(通算12勝目)を飾った。
すっかり日が暮れたサーキットで小林は取材陣に力なく話した。「うまくいかない1日でつらかった。ファンの前でいい結果を出せなくて残念。ひどいレース内容になってしまった」。5台の追い抜きから7位入賞した昨年は喜びを爆発させたが、今年は対照的に笑顔を見せず会場を去った。
今年は東日本大震災で被災した福島県南相馬市で活動する少女合唱団を招待し、彼女たちの国歌斉唱を聴いてからレースに臨んだ。グリッドは自己最高7番手。しかしエンジンストールでスタート失敗し1周目で12番手まで後退してしまった。
23周目に9番手まで巻き返したが、直後の24周目にコース上の破片処理でセーフティーカー(SC)が出動。これも追い上げムードに水を差した。急きょピットインして摩耗の少ない硬いタイヤでレースを乗り越えようとしたが、最後はタイヤが持たず13位。「スタートの遅れとSCのタイミングで台無しになった」と悔やんだ。
巻き返しを期した母国GPだった。チームを支援するのはメキシコの大富豪カルロス・スリム氏。小林は5戦連続入賞を逃したが、対照的に同僚でメキシコ人のペレスは8位に入り2戦連続で入賞をゲット。チームは9月上旬にメキシコ出身の控えドライバー、グティエレスを直線テストに参加させるなど、周辺は慌ただしくなっている。
F1関係者は「テストは小林の代わりにグティエレスを乗せる布石かもしれない」と来年途中でのグティエレスの昇格も示唆。小林は「マシンの状態は良くなっている。いいニュースを届けられるように頑張る」と前向きだが、残り4戦は雑念を一掃させる結果が求められている。