畑山隆則氏 00年坂本博之戦と重なる尚弥VS中谷 「シビれる」日本人対決あと2日
WBA世界ライト級タイトルマッチ12回戦 〇同級王者・畑山隆則 TKO10回18秒 同級14位・坂本博之● ( 2000年10月11日 横浜アリーナ )
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【世紀の日本人対決を語る(4)】屈指の名勝負と言われた日本人対決が、2000年(平12)に行われた。WBA世界ライト級王者だった畑山隆則氏(50)と、坂本博之氏(55)の激闘だ。畑山氏は、10回TKO勝ちした試合を振り返って「あの試合なくして今の私はない」と言う。井上尚弥有利と言われる中谷潤人とのビッグマッチ。日本人同士の意地のぶつかり合いが、名勝負を生む。
2階級制覇の王者として試合に臨んだ畑山氏は、名勝負と言われた坂本氏との一戦の意味を、こう話した。
「やっぱり、ボクサーである以上、世界王者になるのは大事だけど、世界王者になって誰と戦い、いかに記憶に残る試合をできるかということじゃないですか。あの試合なくして今の私はない。私のステータスを上げてくれた試合だった」
WBA世界ライト級王座を獲得し、2階級制覇をしたリング上で「次は坂本選手とやります」と宣言した。過去にスパーリングの経験もあった。初めてのときは「試合でやったら負ける」と思い、2回目は「勝てる」と手応えがあった。「ガンガン打ち合ってくれる坂本さんのスタイルが好きだったし、凄く楽しかった」。2人には、日本人同士だからこその伏線があった。
人気テレビ番組「ガチンコ・ファイトクラブ」に出演し、知名度も上がっていた。一方で、3度の世界挑戦経験があった坂本氏は、児童養護施設出身の経歴や、ためらいのない強打のスタイルで熱狂的なファンを持つ。ボクシングファンを超えた注目が集まった。
スピードと技術の畑山、強打とタフネスの坂本。「坂本さんが強いとの声もあって。ふざけんなと」。試合が近づくにつれて予想が拮抗(きっこう)するのは、ビッグマッチの常だ。今回も中谷勝利の声も増え始め「実績は圧倒的なのに、井上チャンピオンもムッとしてると思いますよ」と話した。
初回からの激闘を10回に終わらせた畑山氏は「楽しかったし、疲れなかった。何ラウンドでもやっていたい気持ちだった」と振り返る。「日本人には絶対、負けたくないと、気合が入った」ことで調整は完璧だった。
「今回(の2人)もそう思っていると思いますよ」。予想は「意外に井上が早い回に倒してしまうとか。やっぱり、まだ差があると思う」と話す一方で「日本人同士は、会場が真っ二つに割れる。あれはシビれました」とも言う。日本人対決だからこそ、負けられない。そのモチベーションが持つ力も、畑山氏は知っている。(鈴木 誠治)
▽WBA世界ライト級タイトルマッチ 98年に獲得したWBA世界ジュニアライト(現スーパーフェザー)級王座の2度目の防衛に失敗後、一時引退した畑山は、半年後に復帰して00年6月に2階級制覇を達成。初防衛戦の相手に坂本を指名した。初回から激しい打ち合いを展開し、左フック、右アッパーでペースをつかんだ畑山は10回、左フックからの右ストレートでダウンを奪い、タオル投入のTKO勝ち。年間最高試合に選ばれるなど高い評価を受けた。次戦は引き分けで防衛したが、3度目の防衛に失敗して引退した。



















