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【一問一答】井岡一翔「勝てないとは全く思わない」「でも判定は開いているし…不思議な感じ」

[ 2025年5月11日 23:15 ]

プロボクシング WBA世界スーパーフライ級タイトルマッチ   王者 フェルナンド・マルティネス(アルゼンチン)<12回戦>同級6位 井岡一翔(志成) ( 2025年5月11日    東京・大田区総合体育館 )

10R、左フックでダウンを奪う井岡(撮影・長久保 豊)
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 前WBA世界スーパーフライ級王者の井岡一翔(36=志成)が王者フェルナンド・マルティネス(33=アルゼンチン)に0―3の判定負け。世界王座返り咲きを逃した。昨年7月の王座統一戦で0―3と判定負けした因縁の相手にダイレクトリマッチで2連敗。長谷川穂積の35歳9カ月を上回る日本人男子最年長36歳1カ月での世界王座奪取はならなかった。

 終始前に出てくる王者の圧力に屈した。序盤から連打で押し込まれ防戦一方。カウンターを狙っていくが、6回にはロープ際でラッシュを食らいヒヤリとするシーンもあった。しかし8回、ついに王者の動きが止まると、9回はリング中央で激しい打ち合い。10回にはついに左フックでダウンを奪い攻めに転じると、最後まで死力を尽くした打ち合いを見せたが、序盤の劣勢を逆転できなかった。

 以下は試合後の井岡との主なやりとり。

 ――判定を聞く前の心境は。

 「7月に戦ったときもそうだったんですけど、もう展開が1ラウンドから結構激しい展開になって、1ラウンド1ラウンド、全身全霊で戦うような感じだったので。最後の最後にダウン取って、なんか負けているという感じも別になかったですけど、勝ってるかな?とかも、自分もかなり熱くなっていたんで。客観的に見れてないというか、冷静さも中にはあるんですけど、あっという間の12ラウンドだったので。冷静に、俺勝ってたなという気持ちとか分からないですね。勝ってたらいいなという気持ちでしたね」

 ――結果を聞いてどう受け止めた。

 「結果が全てなんで。負けたってことは素直に悔しいです。期待してもらってた方たち、応援してもらってた方たちの期待に応えられなかったというのが素直に悔しいです。こうすればよかったとか、ああすればよかったとか思ったら、もう切りがないですけど、あの一瞬一瞬の自分の全力は出したと思うので。今日は自分の全力を出して、結果勝てればよかったですけど、負けたので。やり切ったという気持ちはあります」

 ――10ラウンドにダウンを奪った。まだ時間があった。そこで詰め切れなかった。

 「そうですね。僕も体力を結構使ってましたし、それまでの展開で一進一退の攻防の中で単発になって。気持ちが強く、何としても倒したい倒したいという気持ちが先行しちゃって。技術的な面とかも、もっと効率良くというか、コンビネーションとか、コンビネーション出さなくても2発のパンチとか3発のパンチ出せればなっていう。もう目の前いっぱいいっぱいの中で、倒したいという気持ちが先行して、一発一発になっちゃったな」

 ――前回と今回、何が良くて何が悪かった。

 「彼は接近戦。近い距離に対して相手が近い場所にいる場合、結構連打が止まらないんで。彼が打つパンチの範囲って長いわけじゃないんですけど、そこの近くではずっと連打してくるんで。それをいかに外して、前ではつくるけど、後ろもうまく使って。あとリードパンチという部分でできたところもあったし、向き合って熱くなったところもあったし。それをずっと攻防の中でやっていた印象ですね」

 ――中盤勝負というプランに見えたが。

「中盤とか前半とか考えてなかったですけど、彼がもう凄い、前回同様ハイペースで来たんで。勝負しに来てるなっていうところで。彼のオフェンス面はとても見栄えがいいんで、それをどういうふうに後ろでさばいたらいいのか、前で打ち合ってカウンターで決めればいいのかっていうのが、一瞬一瞬の選択の中、難しい展開になりましたね。今回は後ろでもつくれたし、前回みたいな見栄え悪く前で我慢してずっと体寄せてっていう部分は少なくなってたと思うので、パンチの的確性で言ったら、うまく外せたんじゃないかと思いながら。それがどこまでジャッジに対しては分からなかったですけど、彼もディフェンスうまいので、崩してカウンターというので、考えながらボクシングをつくってましたね」

 ――前回より厳しかったのは。

 「それは多分、僕はボクシングの展開を前ばかりじゃなくて後ろ使ったり、ジャブを工夫したり、(相手が)ボディー意識してるのは分かってるので違うパンチに切り替えたりするのが、彼からすると前回よりやりづらかったんじゃないですか。自分も前回よりパンチもクリーンヒットでそんなにもらってなかったし、まあ熱くなりすぎたところはありましたけど、やってきたことを出してるなというのはあります」

 ――相手の圧力が前回より弱かったように見えた。

 「それはたぶん僕が後ろでつくってるから、続けられなかったと思います」

 ――中盤、相手が明らかに休んでるラウンドがあった。そこで確実にポイントを取れれば良かったと思うが。

 「行ききれてない部分もあるし、向き合ってて分かるんですよ。見ていて疲れてるし、休んでるの分かるんですけど、彼と向き合って目を見てるとカウンター狙ってるとか、その駆け引きの中での休み方。ディフェンスだけをしてる時ってディフェンスしやすいじゃないですか。来るパンチを待ってるだけなんで。その時に僕もミスブローしたくないという気持ちがあって。前回もそうだったんですけど、今回ももっとジャブで崩したかったんですけど、ディフェンスで体を小さくしてコースを大きく狙ったところにカウンターを合わせられる怖さもあったんで、そこの駆け引きも考えながらやってたらズルズルいっちゃったかなという」

 ――負けた理由は?

 「向き合った感覚でしか今ないんで分かんないですけど、見方ですよね。僕もやった感じ、本当全部そうですけど、この相手に勝てないとは全く思わないし、勝てる相手だと思うし、今回も勝ったかどうなんやろ?という感じだったんで。でも判定は凄く開いているし、なんか不思議な感じですね」

 ――前回は涙を流したが、今回はなかった。

 「前回の気持ちのつくりかたと今回の気持ちのつくりかたは違ったし、前回はやっぱり悔しさがあって涙した気持ちがあったから。今回は前回やり切って悔しかったから、今回は前回を経験してるので。自分自身結果に納得してなくて、自分がやり切ったことに対して一生懸命やったし、だから別に泣くことじゃないなっていう。結果は悔しいですよ。自分がやったことに対して、戦ったことに対して、なんか涙を流すことではないなって。ただ、みんなが悔しそうな顔、一周回ってリングの周り回って、皆さんの悔しそうな顔見たときに、やっぱり僕はチャンピオンベルトを持ってたらみんな笑顔になってるのに、悔しい顔と泣いている顔の方がいたらやっぱり泣いてしまいましたけど。それだけですね。自分としてはもうできることはやったかなと思います」 

 ――今後について話せることは。

 「今は気持ち的には、終わって結果として負けて、年齢も36になって、もう引退かなって…いうような気持ちは別にないですね(笑い)。別にもうここまでやっていいかとか、もうこれで引退しますって、今皆さんの前で言うような感情とかではないですね。とりあえずこの試合に向けてやってきて、皆さんも分かっている通り約1年ぐらいかけて、この試合が実現して、この試合ができる幸せを凄くふつふつとかみしめながら、ウオーミングアップでも、この試合に向けたトレーングでも、一日一日充実感だったり幸せを感じながらやってきましたけど。ボクシング人生でこの試合が凄く楽しみだったし、自分がやるべきことはやったんで、涙も流すことなくやり切ったなという思いはあるけど、別にそれが果たしてボクシング人生やり切ってここで引退しますっていう気持ちでは別にないです」

 ――限界は感じてないと。

 「別に限界は感じてないです」

 ――家族は。

 「子供は分かってるようで分かってないんで。長男はパパ、倒したのに何で負けたのって言ってましたけど。次男はパパ~っていつも通りな感じ。妻は悔しそうな姿は僕に見せないんで。気持ちとして寄り添ってくれるような言葉をかけてくれましたね。お疲れさまって」

 ――まだこの階級でやるか。

 「スーパーフライ級でやり続けるとか階級上げてバンタム級というのも全く考えられないですね」

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