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那須川天心 初の10回戦で世界4位に3回TKOの圧勝劇 ボクシング転向後4戦目で初めて倒しての勝利

[ 2024年7月20日 20:02 ]

プロボクシング54.4キロ契約ノンタイトル戦   那須川天心(帝拳)<10回戦>ジョナサン・ロドリゲス(米国) ( 2024年7月20日    東京・両国国技館 )

<ダブル世界戦>TKO勝利の那須川はコーナーポストに上がってほえる(撮影・島崎忠彦)
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 WBA世界バンタム級7位の那須川天心(25=帝拳)がボクシング転向後4連勝を飾った。自身初の10回戦で格上の同級4位ジョナサン・ロドリゲス(25=米国)に3回1分49秒のTKOで勝ち、地域タイトル挑戦へのアピールに成功した。

 初回は両者ともに様子見ともいえる静かな立ち上がりとなったが、那須川はノーモーションからの左ストレートを当てるなど、距離感を把握していった。2回終盤には、左ストレートにロドリゲスの腰が完全に落ちる状態となり、ラッシュをかけた。

 3回に入ると左ストレートでダウンを奪い、ロドリゲスは立ち上がったが、レフェリーが試合を止めた。那須川は流れの中で相手を倒してのKO(TKO)は初めてとなった。

 初のTKO勝利を挙げた今年1月の転向3戦目以降、接近戦や中、長距離での戦い方を模索した。その中でつかんだのが”宇宙人スタイル”だった。「ボクシングの概念ではない、少し違う動きをスタイルに取り入れた。”ちょっと宇宙人来ちゃったよ”みたいな。そんなノリになるくらい、異世界に来ているような、場を支配したい」。ボクシング仕様に仕上げながらも異次元の戦い方を随所で見せ、世界上位ランカーを破った。

 日常生活から、あらゆる分野からヒントを得て取り入れる。3戦目の前から改善した歩き方に加え、今回は呼吸法を意識した。練習前はストローで風船を膨らましながら、瞑想(めいそう)して集中を高める。体のバランスの意識や、相手の動きを読むなどの狙いがあることを明かし、常人にはない“感覚”を積み上げた。一戦ごとに遂げる成長には確かな裏付けがあった。

 一方で多くを求めるが故、試合約2週間前には壁にもぶち当たった。取り組んできたコンビネーションが出せず、模索する日々が続いた。それでも「生きていたら壁にぶち当たることは絶対ある。そこを自分で打ち破ってきた自負がある」と結果で示した。

 「タイトル前哨戦」と位置づけていた一戦での勝利で、早ければ次戦にも地域タイトルに挑戦する可能性も高まった。東洋太平洋は3位、WBOアジア・パシフィックは1位、日本ではスーパーバンタム級4位で、王座を狙える位置にいる。ただ本人は「すぐにタイトルという焦る気持ちも分かるが、そこはトランキーロ(焦んなよ)で。ゆっくりとやっていきたい」と着実に経験を積んでいく意向だ。

 10戦目をめどに世界挑戦させることを明言している帝拳ジム・本田明彦会長も「まだ経験が必要。じっくり育てる」と方針を明かすが、「誰にもできないようなボクシングをする。これが12回できるようになれば世界で通用する」と前倒しで来年末の世界挑戦にGOサインを出す。日本人王者が占めるバンタム級主要4団体を「統一するつもり」と野望を明かしていた那須川。4団体への本格的な挑戦への一歩を踏み出した。

 ▼那須川 やっとやりましたよ、KO。KOできないといった人、誰ですか?本当、この期間、倒せる練習というか、この日のために日頃から心を整えてやってきた。(相手を)きかせたパンチは手ごたえがなかった。スコーンと抜けた感じ。この感覚をしっかりつかめてホッとしています。進化はできたと思います。自分の型がやっと完成してきたというか。でも、完成と思うと進化は止まってしまう。まだこんなもんじゃないんで。今、日本のバンタム級、チャンピオン4人いるんで。次なんか地域のタイトル獲って。那須川天心、どうですか?やってくれると思ったでしょ、今日はかましたと思います。

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