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元貴ノ富士、格闘家転身でリングへ殴り込み!まずはRIZIN出場を目指す

[ 2020年7月8日 05:30 ]

格闘家転向を表明した大相撲の元十両貴ノ富士の上山剛氏(本人提供)
Photo By 共同

 大相撲の元十両・貴ノ富士の上山剛氏(23)が7日、格闘家転向を表明した。国内最大の総合格闘技イベント「RIZIN(ライジン)」出場を目指す。19年9月に2度目の暴力問題が発覚して現役を引退した男が新天地で再出発する。

 角界を去って約9カ月。血気盛んな23歳が戦いの場をリングに移す。元十両・貴ノ富士は格闘家転身を表明し「角界では2回もファンを裏切ってしまった。三度目の正直じゃないけど、応援してもらえる選手になりたい」と決意を語った。

 元貴ノ富士は自己最高位の十両5枚目だった19年9月の秋場所前、付け人への暴行や若い衆への暴言が発覚。18年春場所中に続き2度目の暴力問題であることを重くみた日本相撲協会から自主引退を促された。現役続行を強く望んだが、その思いはかなわず、同年10月に引退届を提出した。

 土俵を去ってしばらくは自責の念に駆られ、周囲からの勧めで、格闘技挑戦を決断。関係者の話によると、引退後しばらくして都内のジムでトレーニングを始め、初代タイガーマスクの佐山聡の指導も受けていたという。力士時代から稽古熱心。約50キロ減量して体重は約115キロになったといい、髪を短く刈り上げた。現在は所属先や活動拠点を探しながら筋力トレーニングを積んだり、寝技を練習したりしている。まずはRIZINの出場を目指し、将来的には世界最大の総合格闘技団体「UFC」でのデビューを狙う。「格闘技界の横綱であるチャンピオンを目指す」と堂々と語った。

 最近では把瑠都や大砂嵐がRIZINのリングに上がるなど過去に大相撲から格闘家への転身は多いが、トップ選手となった例はない。スタミナや寝技などの技術面での対応は簡単ではない。しかし、過去の選手たちとは異なり、元貴ノ富士は若く、大相撲では成長段階にあった。双子の弟で、大相撲十両13枚目の貴源治はこのタイミングでの格闘家転身を知らなかったというが、新たな道を歩み始める兄へ「相撲界で共に命を削った身としては、そっちの世界でも命を懸けて上を目指して頑張ってほしい」とエールを送った。伸びしろ十分の23歳は土俵で果たせなかった大きな夢を新天地で追い掛ける。

 【元貴ノ富士のこれまで】
 ▽18年3月18日 新十両だった春場所8日目の取組後に支度部屋で付け人を複数回殴打。貴乃花親方から謹慎を言い渡され、9日目から休場。
 ▽同29日 協会が理事会で1場所の出場停止処分を下す。
 ▽6月5日 大阪府警が傷害の疑いで書類送検(起訴猶予)。
 ▽19年8月31日 自分より先に風呂に入った付け人があいさつしないことに立腹し、げんこつで1回殴打。
 ▽9月2日 若手力士3人が部屋から脱走。千賀ノ浦親方は貴ノ富士と貴源治を呼び出し、差別発言や殴打があったことを確認。
 ▽同26日 協会が理事会で貴ノ富士に自主的な引退を促すことを決議。
 ▽同27日 貴ノ富士が代理人弁護士とともに文科省で会見。「処分はあまりに重く受け入れられない」と現役続行を熱望。
 ▽同30日 協会が10月3日に貴ノ富士の意思確認の面談を行うことを決定。貴ノ富士側は暴力問題の再発防止策について協会の考えを回答するよう要請。
 ▽10月3日 貴ノ富士側が面談をキャンセル。11日までに意向を文書で通達すると連絡。
 ▽同11日 貴ノ富士側が引退届を協会に郵送。これを聞いた千賀ノ浦親方が正式な書式の引退届を提出し、協会に受理された。

 ◆上山 剛(かみやま・つよし)1997年(平9)5月13日生まれ、栃木県小山市出身の23歳。茨城・境一中では双子の弟・貴源治とともにバスケットボール選手として活躍。中3の夏に体験入門したのをきっかけに貴乃花部屋へ入門。13年春場所で初土俵。17年夏場所新十両の貴源治に続いて18年春場所十両に昇進し、史上初の双子関取となった。同10月に千賀ノ浦部屋に移籍し、19年初場所から、しこ名を貴公俊から貴ノ富士に改名。同10月に引退。最高位は西十両5枚目。1メートル90。現役時代の体重は150キロ超。血液型O。

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2020年7月8日のニュース