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日本人初!西岡“聖地”でV7も…来年5月で引退

[ 2011年10月3日 06:00 ]

<ボクシングWBCスーパーバンタム級タイトルマッチ>日本人王者で初めて米国でタイトル防衛に成功した西岡

WBC世界スーパーバンタム級タイトルマッチ

(10月1日 米ラスベガス)
 WBC世界スーパーバンタム級タイトルマッチが1日(日本時間2日)、米ラスベガスで行われ、王者・西岡利晃(35=帝拳)は元2階級制覇王者ラファエル・マルケス(36=メキシコ)を3―0判定で下し、日本人初となる“聖地”ラスベガスでの防衛に成功した。35歳の西岡は日本人最年長防衛記録を達成。7度目の防衛成功は歴代5位タイの記録となった。陣営は次戦で引退することを示唆しており、来年5月にも3階級制覇王者ノニト・ドネア(28=フィリピン)との“ラストマッチ”に臨む。

 試合終盤から湧き起こる「ニシオカコール」に後押しされるように、西岡の拳がマルケスの肉体をえぐった。KOこそ奪えなかったが、文句なしの判定勝利。終了直後にブーイングした地元ファンを沈黙させた王者は葛西トレーナーに肩車をされてキャンバスを一周。「選ばれた者しか立てない場所ですから。最高にうれしかった」と人生最高の笑みをこぼした。

 日本人世界王者が海外で防衛戦に臨むこと自体珍しく米国で行ったのは西岡が3人目。しかも舞台は聖地ラスベガスの中でも数々の名勝負が繰り広げられた最高級のMGMグランドホテルだ。しかし09年5月にメキシコで防衛実績のある西岡は「物凄く集中していたから終わるのも早かった」とさらりと言い放った。

 序盤はマルケスの伸びる左ジャブが顔面をヒットし劣勢に回った。しかし帝拳ジム・本田明彦会長(64)の「前半1~2回で倒せなかった場合はプレッシャーをかけてスタミナを消耗させて後半に勝負」という指示通りに動き、得意の左でチャンスを探った。流れを変えたのは5回残り30秒。左ストレートがきれいに顔面を捉えると挑戦者の動きが一瞬止まった。6回以降、プレッシャーを強め左ストレート、左ボディー、序盤は“封印”していた右も加わり、強敵を粉砕した。

 日本人初の快挙になくてはならない“恩師”の存在があった。西岡は04年3月に4度目の世界挑戦に失敗。後輩の台頭などで腐りかけた時に画家・山本集(あつむ)さん(71)と出会い「この道より生きる道なし」という言葉をもらった。「本当にいい言葉です」とどん底からはい上がり、世界王者に。8月には初対面し両手で両拳を握りしめられ「俺のパワーをみな持っていけ」と背中を押された。

 西岡の評価はラスベガスでも急上昇だが、本田会長は慎重な姿勢を崩さない。「あと1戦。ふさわしい場所でふさわしい相手と闘わせたい。ドネアとやるなら(来年)5月」と、西岡を次戦で引退させる意向を示した。集大成となる“ラストマッチ”の相手は、試合後に対戦を要求した世界2団体統一バンタム級王者のドネアが有力。西岡は「次のことは考えられない」と苦笑いしたが、世紀の一戦が待ち遠しい。

 ▼試合経過 西岡は3回からボディー、5回は顔面に左ストレートを打ち分け、6回の左フックでマルケスの動きを止めた。8回にバッティングで右側頭部を切ったが、相手の連打を冷静にかわして左ストレートでペースを戻し、最終回もラッシュするなど終盤を完全に制した。

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