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魔裟斗涙の世界一!8ラウンド戦い抜いた

[ 2008年10月2日 06:00 ]

5年ぶりに王座を奪回し、喜びをかみしめる魔裟斗

 魔裟斗(29=シルバーウルフ)が5年ぶりに王座を奪回し、号泣した。K―1ワールドMAX世界一決定トーナメント決勝戦が1日、東京・日本武道館で行われ、日本人最強決定戦となった準決勝で佐藤嘉洋(27=フルキャスト)と初対戦した魔裟斗は、3Rにダウンを奪われながらも延長戦で判定勝ち。決勝もアルトゥール・キシェンコ(21=ウクライナ)に延長の末に判定勝ち。K―1甲子園はHIROYA(タイ・セントジョーンズISH2年)が1R24秒でKO勝ちし、大みそかの「Dynamite!!」に駒を進めた。

【試合結果


 魔裟斗が泣いた。“反逆のカリスマ”の背中が震えていた。勝利が決まった直後、コーナーにうずくまった。両目からこぼれる涙が止まらない。「100%出し切りました。何も残っていない」。2度のダウン。延長2試合で計8ラウンド。すさまじい死闘のあとだからこそ、ありふれた言葉に実感がこもった。

 クールな男が本当の「根性」を見せた。日本人最強決定戦となった準決勝の佐藤戦は3Rにダウンを奪われた。「絶対に負けない」。驚異の執念で劣勢を盛り返し、延長の末に判定勝ちした。キシェンコとの決勝も2Rに右のカウンターでダウン。それでも、前進はやめなかった。

 谷川貞治イベントプロデューサー=EP=(47)が「数年間の格闘技の中で一番感動した。ハートの強さに尽きる」と絶賛した戦い。ふらつきながら反撃し、強打を浴びても打ち返し、前に出た。壮絶な執念に引き込まれるように、1万5231人の観衆は大歓声で魔裟斗を後押しした。

 「オレが2度も倒れるとは思わなかった」と振り返った激闘の2試合を戦い抜けたのは、3年間のスタミナ強化の成果だった。土居進トレーナーの下、中、短距離の走り込みで体力と心肺機能を鍛え上げた。3分3R、パンチを出し続けても息が上がらない。「陸上選手みたいで苦しくてやめたくなった」が、ベルトのために走り続けた。あの苦しさが、折れそうになる気持ちを支えた。

 5年ぶりに立った2度目の頂点の達成感が「2度とやりたくないね。今後のことは、冷静になってから考えたい」と言わせた。「5年前とは全然違う。やっと獲ったベルト。それ以上、何もない」。涙が乾くと、魔裟斗は真っ白になっていた。

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2008年10月2日のニュース