「ものを言わへん」文化が現代日本の象徴や 声を上げな何も変わらへんで

[ 2023年12月28日 13:45 ]

鳥内秀晃氏
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 【名将・鳥内秀晃の人間話 頼むでホンマ】2023年も残りわずか。今年もいろんなことが起きたな。

 年末になって、政治資金の問題が表面化して、大騒ぎしてるけど、政治家はいつまで国民をだましたら気が済むんやろ。旧統一教会との関係が明るみになった時、すでにみんなを裏切ってるわけやん。国民はもっと怒るべきやで。

 本来、司法、立法、行政の三権分立が確立されて然るべきやのに、立法府は政治資金規正法をちゃんと作れへんし、司法も国のいいなり。官僚かて、政治家に手なずけられてしまってるのが現状やわ。経団連が自民党に毎年約24億円の献金していることかて、1兆円ともいわれるような、莫大な見返りが期待できるからやろ。誰もコントロールできてへんのやから次から次へと、この種の問題が噴出するのは、当たり前や。

 同じように企業でも、深刻な問題が次々と出てきてるわな。最近やと、ダイハツの不祥事。製造に関わっていた人は、あかんことしてると自覚してて、何で30年以上も声を上げられへんかったんやろ。たとえ上からの命令でも、できんことはできん、と言わなあかんねん。今回は内部告発で明るみになったけど、その勇気がなかったら、同じ状態がさらに続いていたかもしれへん。とにかく、「ものを言う文化」がなさすぎるわ。

 そう思うと、ビッグモーターの一件も、日大の一連の騒動も、宝塚歌劇団、旧ジャニーズで起きた各種のハラスメントも、根っこはみんな同じやな。上にいる人間が絶対的な権力を振りかざして、イエスマンは優遇される一方、ものを言う人間は冷遇されるか、どっかへ飛ばされてまうねん。戦後、ほぼ一党独裁でやってきた政党が70年以上、その手法でやってるわけやから、まさに日本の縮図と言えるわな。

 結局、日本の戦後教育が元凶やねん。小学校の時から暗記ばっかりさせられて、テストでもすぐに答えを求められるやろ。考える人間やなくて、物をたくさん覚えられる人間が偏差値の高い大学に入って、トップで社会や企業を動かしてるのが今の日本や。こんな仕組みを作ったのも、考える国民を増やさんようにするためなんか、と思わず勘ぐってしまうわ。

 今になって、ようやく声を上げる人が出てきて、いろんな問題点が噴出してきたんやから、ここで一気に改革せなあかんのちゃうかな。特に大学生はもっと声を上げてもええんちゃうか。経済苦で学校を続けられへん学生が増えている一方で、外国人留学生には多額のお金が支給されてるわけやろ。国は自分のとこの国で困っている人に目を向けたらな。

 政治資金改正法のことかて、岸田首相は未だに「議論の可能性は十分ある」とか言うてるけど、その時点で国民との温度差は大きいわな。とんでもないことが起こってる自覚が足らん気がするわ。国民に対してインボイス制度とか、マイナンバーを強いるんやったら、政治家もお金の動きをデジタル化して管理したらええんちゃうの? 衆参合わせて600人近い議員のデータを総務省だけで見るのが大変やったら、元気なシルバーエージの人とかを募集して、管理したらええやん。第三者の目でしっかりチェックされたら、政治家はやりにくいやろな。身に覚えのある人は、肝に銘じて、裏切り行為はやめてや。頼むで、ホンマ。

(関西学院大アメリカンフットボール部前監督)

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