小平奈緒 引退レースで8連覇「心震える瞬間でした」満員の地元リンクで有終の美

[ 2022年10月22日 12:40 ]

スピードスケート全日本距離別選手権第2日 ( 2022年10月22日    長野市エムウェーブ )

<スピードスケート全日本距離別選手権第2日>女子500メートル、優勝を果たした小平(撮影・会津 智海)
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 18年平昌五輪金メダリストの小平奈緒(36=相沢病院)が現役ラストレースとなる女子500メートルに出場し、37秒49で8連覇を達成した。12組中11組のアウトスタートで登場。自身が17年にマークした大会記録37秒25には届かなかったが、最終組で滑り2位となったこの種目の北京五輪銀メダリストの高木美帆(28=日体大職)らを抑えた。

 「夢にまでみたような会場で最後滑ることができて本当に幸せでいっぱいです。会場が温かく包まれるような感じで、テレビで見た長野五輪とは違う心震える瞬間でした。この時間をたくさんの皆さんと共有できたことが私の財産になる」

 4月に現役引退を表明。最後の舞台に選んだのはエムウェーブだった。五輪を目指すきっかけとなった98年長野五輪が開催され、自身のホームリンクでもある思い入れの強い場所。収容6400人の会場には満員の観衆が押し寄せた。長野市出身の小平は地元でのラストレースにこだわり、新シーズン開幕戦となる今大会の1本のレースのために夏場の過酷な練習を積んできた。

 2年間を過ごしたオランダ時代のチームメートやコーチからは「たった1レースのために、長い夏を過ごすの?」と驚かれたが「モチベーションは上がりっぱなしで少しも下がらなかった。本当に楽しかった」と充実の夏を過ごした。8月にはショートトラックの1000メートルのタイムトライアルで自己ベストを更新。05年から指導を受ける結城匡啓コーチからは「10年先まで現役でできるな」と太鼓判を押された。

 平昌五輪前後には国内外の大会の500メートルで37連勝を記録するなど圧倒的な強さを見せた。今年2月の北京五輪は2種目に出場。大会1カ月前に右足首を捻挫した影響もあり、500メートルが17位、1000メートルが10位に終わった。全盛期の強さはないが、昨季W杯500メートルの種目別総合で2位に入るなど世界トップクラスであることに変わりない。「スケートだけで人生を終わりたくない」。次なる挑戦に向けて第一線を退く。

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2022年10月22日のニュース