中村俊輔の他競技への“アシスト” 精密FKのように内村航平さんは武器を磨いた

[ 2022年10月18日 13:20 ]

内村航平さん
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 今季限りで現役を引退するサッカー元日本代表MF中村俊輔(横浜FC=44)の存在は、他競技のアスリートにも好影響を及ぼしていた。

 17年1月、体操界のキングとして君臨していた内村航平さんは、中村と向かい合っていた。16年12月にプロ転向した内村さんは、中村らと同じマネジメント会社と契約。“同僚”となったことで実現した対談だった。

 直接FKが代名詞の中村は言った。「FKという武器があって、本当に助かったよ」。当時、内村さんは6種目の合計で争う個人総合で世界大会8連覇中。この言葉の重みは、のちに知ることになる。

 対談から2年3カ月後の19年4月、内村さんは競技人生最大の挫折を味わった。深刻な両肩痛を抱えたまま全日本選手権に臨み、まさかの予選落ち。東京五輪は「夢物語」と吐き捨てるほどだった。

 20年2月、東京五輪を見据え、個人総合ではなく15年世界選手権の種目別で金メダルを獲得した得意種目の鉄棒一本で勝負することを決断。心が定まった時に思い出した。あの時の中村の言葉を。「俊輔さんが言っていたことが分かった」。中村のFKのように、美しく精密に武器を磨き上げると決めた。

 H難度の大技「ブレトシュナイダー」を完璧に習得。し烈な国内選考会を勝ち抜き、新型コロナウイルスの影響で1年延期となった東京五輪に出場した。夢舞台は予選落ちに終わったが、競技人生の最大目標にたどり着けた理由の1つに、中村のアシストもあった。

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2022年10月18日のニュース