遼、限界突破へ“頭”でアプローチ 3年ぶり米ツアーで壁直面「今までのゴルフ観ではチャンスゼロ」

[ 2020年3月31日 05:30 ]

石川遼 単独インタビュー(中)

今季の意気込みを話す石川(撮影・沢田 明徳)
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 2020年、石川遼(28=CASIO)は3年ぶりに米大陸で行われた米ツアーに参戦した。東京五輪代表入りに向け、ポイント獲得を目指したが予選落ちのない2月のWGCメキシコ選手権では72人中68位。翌週のホンダ・クラシックでは予選落ちを喫した。ここで感じた今の自分の「限界」と、新たな発見になった今後への「指針」を語った。 (取材、構成・黒田 健司郎、中村文香)

 《理想のスイングだけ追い求め》米ツアーに参戦していた17年以来約3年ぶりとなる米大陸。自身も期待を抱き、臨んだ2大会は不本意な結果に終わった。

 「今までのゴルフ観では去年の国内3勝が限界。考え方を覆さないとチャンスはゼロだと。何度も海外に出て打ちのめされて、悔しいから練習しますってやってきたけど…。自分の考え方が間違ってるって思いました」

 通算17勝を重ね、獲得賞金は10億円を超える。だが、考え方を変えないと“今”が限界と断言した。では何を変えれば、“今”以上に進化できるのか。

 「今まで試行錯誤して理想のスイングを追い求めてきた。じゃあ、その先に何があるかって考えたときになかった。スイングだけで埋められると慢心があったんです。その精度を得られた時に、頭脳をいかに使って攻めていけるかが大事だと」

 《マネジメントの重要さ気付く》WGCメキシコ選手権で2日間、同組で回った全英オープン覇者のL・ウェストヘーゼン(南アフリカ)を見て、世界との差に気がついた。

 「体も飛距離も自分と変わらないのに、彼はメジャーを勝っている。それは、マネジメントと自分のスイングを見極める頭、ゴルフ脳。その場の状況判断とか自分の(ショットの)幅を理解するとか。頭の部分に差があると思いました」

 これまでの17勝は劇的な勝利が多かった。その一方で、成績に波があったのも事実。昨季は19試合中、3度の優勝も含めてトップ10が7度。賞金王の今平周吾は24試合中16度と対照的だ。“再現性”という言葉でスイングの安定を追求してきたものの、それに比例して成績が安定しなかったことに言及した。

 「再現性という言葉を使いながらも、無縁のゴルフだったという悲しいオチで(苦笑い)。そこって今まで“そのゴルフって楽しい?”みたいに軽視していた部分です。曲げて林からベタピンに打って。でも、それは(プレーとして)再現性がない。試合で必要な感覚だけど、なるべくそれを使わないスイングとマネジメントを組み合わせて。今まで使ってこなかった脳みその部分をフルに(笑い)。そこを使えば、不可能なことはないって思いました」

 ◆石川 遼(いしかわ・りょう)1991年(平3)9月17日生まれ、埼玉県松伏町出身の28歳。父・勝美さんの指導で6歳からゴルフを始める。杉並学院高入学後、ツアー初出場となった07年5月のマンシングウェアKSBカップで優勝。15歳245日は当時、世界最年少のツアーVだった。08年にプロ転向し、09年に18歳で史上最年少賞金王。昨年は7月の日本プロ選手権で3年ぶりの復活Vを果たした。18年から2年間、選手会長を務め、現在は副会長。ツアー通算17勝。1メートル75、70キロ。

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2020年3月31日のニュース