徳勝龍 あるぞ幕尻V!千代丸突き落とし1敗死守も「全然、全然」

[ 2020年1月22日 05:30 ]

大相撲初場所10日目 ( 2020年1月21日    東京・両国国技館 )

千代丸(右)を突き落としで破る徳勝龍(撮影・吉田 剛)
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 幕尻の徳勝龍が千代丸を突き落とし、逆転で1敗をキープした。平成以降、10日目を終えて平幕だけがトップに立つのは7度目で、過去6度のうち5度は平幕優勝が実現している。00年春場所の貴闘力以来2度目の幕尻優勝も見えてきた。同じく平幕で1敗の正代、2敗の大関・貴景勝、平幕の豊山、輝と優勝争いを演じる力士はいずれも勝った。

 
 追い詰められた土俵際、徳勝龍がとっさに右突き落としを繰り出す。幕内で過去6戦全敗と苦手の千代丸を土俵下へ吹っ飛ばした。立ち合いから一方的に攻め込まれながら勝ちを拾い「余裕はなかった。突っ張られて頭が下がって…あまり覚えていない」と不思議そうな顔だった。

 1敗で優勝争いトップを正代と並走。幕尻優勝となれば00年春場所の貴闘力以来2度目の快挙だ。その意識を問われても「全然、全然。(番付が)一番下なので」と首を振る。10日目を終え、首位が平幕2人だけなのは72年名古屋場所の豊山(東前頭筆頭)、高見山(東前頭4枚目)以来47年6カ月ぶり。この場所はより番付が低い高見山が初優勝した。今場所の徳勝龍は西前頭17枚目、上から数えて42番目の地位にいる。戦前の39年春場所(1月)、13戦全勝で優勝した西前頭17枚目の出羽湊は43番目の地位。これに次ぐ番狂わせで、15日制が定着した49年夏場所以降では最大の下克上となる。

 近大相撲部の恩師、伊東勝人監督が18日に55歳の若さで急死した。明徳義塾では目立たなかったが、伊東監督に声をかけられて近大で励み、西日本学生選手権優勝など結果を出して角界入り。しこ名に「勝」の1字をもらった。前日9日目に給金を直しても「声が聞けないのは、さみしい。でも、どこかで見てくれていると思います」。温かいまなざしを感じながら、33歳の苦労人は賜杯がかかる終盤の土俵を務める。

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