水泳オープンウオーター選手悲鳴!お台場は悪臭と猛暑Wパンチ「トイレみたいな臭い」

[ 2019年8月12日 05:30 ]

水泳オープンウオーターの東京五輪テスト大会でゴールする男子選手ら
Photo By 共同

 20年東京五輪・パラリンピック組織委員会主催の水泳オープンウオーター(OWS)のテスト大会が11日、東京・お台場海浜公園で開催された。男子は午前10時開始予定だったが、猛暑の影響で同7時に前倒し。同7時スタート予定だった女子は同7時2分に変更された。本番の半分の距離となる5キロのコースで実施。男子22人、女子12人が出場したが、多くの選手から悪臭と高水温に対する悲鳴が上がった。

 お台場の海を泳ぐ約1時間の競技を終えた中堅男性選手から衝撃的な発言が飛び出した。「正直、臭いです。トイレみたいな臭いがする」。お台場での試合は自身3度目。過去にはレース後に腹痛に襲われた経験もあり「本番では会場で事前練習を行わないなどの対策が必要かもしれない。前日練習でおなかを壊したら元も子もない」と顔をしかめた。

 東京五輪会場でもあるお台場は、水質調査で国際競技団体が定める基準値を大きく上回る大腸菌が検出されるなど水質改善が課題。汚物の流入を抑えるポリエステル製の水中スクリーンをコースの外周に設置しており、既に基準値を下回る測定結果を得ているという。今回は一重のスクリーンが、本番は三重になる予定だ。

 障害は悪臭だけではない。この日の水温は午前5時の時点で29・9度。国際水連は競技実施の条件として会場の水温を16度以上31度以下と定めている。男子は午前10時スタート予定だったが、試合前日に午前7時に前倒しすることを決定。主催者側によると、午前7時の水温は試合前日まで4日連続で30度以下だったという。この日のレース中の水温は非公開だったが、男子で12年ロンドン五輪金メダルのウサマ・メルーリ(35=チュニジア)は「今まで経験した中で最も水温が高く感じた」とぐったりしていた。

 国際水連のコーネル・マルクレスク事務総長は「水質、水温の問題はリオデジャネイロ五輪でもあった。組織委員会と一緒になって解決したい」と説明し、競技開始時間を午前5時まで前倒しする可能性も示唆した。悪臭と高水温のWパンチ。スポーツの祭典を通して、東京の人気観光スポットが“トイレ臭い”と発信されないためにも、対策が急務だ。

 ▽オープンウオータースイミング 海、川、湖など自然の水域で行う長距離の水泳競技。世界選手権では男女ともに5キロ、10キロ、25キロが行われ、五輪では08年北京から10キロが正式種目となった。20年東京五輪ではマラソンスイミングの競技名で、女子が8月5日、男子が同6日に実施。男女各25人が出場する予定だ。

 《お台場のこれまでの水質調査》OWS、トライアスロンが実施されるお台場の水質問題が表面化したのは17年10月4日。東京都と20年東京五輪・パラリンピック組織委員会が同年7~9月に行った水質調査で、競技団体が定める基準値の最大約21倍の大腸菌が検出されたと発表。その後、汚水流入を遮るスクリーンを設置するなど対策を施した。18年10月13日には日本トライアスロン連合が、同年9月13日と10月7日の水質調査結果を公表。9月は水質推奨基準を超える大腸菌が検出されたが、10月は下回った。スクリーン設置エリアで大腸菌類の抑制効果が認められた一方、スクリーン外側と比べて平均で約1度水温が上昇する“副作用”も確認。スクリーン開閉などの対応が必要と判断された。16年のリオデジャネイロ五輪ではセーリングやボート会場の水質汚染が問題となった。セーリング女子のベルギー選手がレース後に体調不良を訴え、腸の感染症を患ったと主張。国際オリンピック委員会が水質の安全性を強調する中、ベルギー・オリンピック委員会が「彼女は数週間前に深刻な胃腸の感染症にかかり、十分に回復しなかった」との声明を出す事態に発展した。

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2019年8月12日のニュース