宇野、紀平に続き逆転V “シルバーコレクター”と呼ばれた男が見せた勝利への執念

[ 2019年2月11日 05:30 ]

フィギュアスケート 四大陸選手権第3日 ( 2019年2月9日    米カリフォルニア州アナハイム )

金メダルを胸に日の丸を背負う宇野(撮影・長久保 豊)
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 男子フリーで宇野昌磨(21=トヨタ自動車)がルール改正後の世界最高得点197・36点をマークし、合計289・12点でショートプログラム(SP)4位から逆転優勝した。3本の4回転ジャンプに成功。8・42点差をひっくり返した。シニアの主要国際大会で初V。シルバーコレクターと呼ばれた男が、3月の世界選手権(20日開幕、さいたまスーパーアリーナ)での優勝を熱望した。

 宇野がついに表彰台の真ん中に立った。結果より内容にこだわり、優勝に無関心を装ってきたニヒルなスケーターが素直に喜んだ。

 「結果にこだわらずに試合に挑もうと言い続けてきましたけど、やはり優勝できたことは凄くうれしい」

 2種類、計3本の4回転ジャンプを成功。いずれもGOE(出来栄え評価)で2点以上の加点を引き出した。演技を終えると氷上に倒れ込み5秒ほど動かなかった。「うれしいというより、やり切った気持ち」。度重なる右足首捻挫の影響で演技構成を下げながら、新ルールでフリー世界最高得点となる197・36点をマーク。羽生の今季自己ベストを超えた。

 15年にジュニアの世界選手権を制しながら、シニアでは、主要国際大会で勝てなかった。平昌五輪の銀、世界選手権では2度の銀。GPファイナルも含めれば大舞台では6大会連続で2位だった“シルバーコレクター”を、やっと返上した。

 かたくなな心をほぐしたのは、17年5月から担当する出水慎一トレーナー(40)だった。SPで4位と低迷した7日の夜、同氏に「昌磨のスタイルで世界選手権で1位になってほしい」と告げられ、気づいた。「1位を獲ることが、みんなのためになるんだなって。1位にこだわりたいと思った」

 逆転Vは勝利への執着心があったからこそ。平昌五輪を前にしても金メダルには無関心を装った男が、この日は「世界選手権で優勝したい」と何度も口にした。勝つ喜びを知った宇野が、羽生との頂上決戦に挑む。

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