【坂本正秀氏の目】大坂 次の全仏オープンは“一番の難関”も間違いなく楽しみ

[ 2019年1月27日 10:00 ]

テニス 全豪オープン第13日 ( 2019年1月26日    オーストラリア・メルボルンパーク )

全豪オープン決勝、優勝を決め笑顔を見せる大坂なおみ(AP)
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 素晴らしい優勝だった。過去に前年の全米、全豪を連勝したのはグラフやヒンギスら、本当に限られた選手だけ。大坂は全米で初優勝してから年を越して一度リセットし、研究される中で勝った。絶好調のクビトバを破ったのだから、本当に価値は高い。

 精神面の成長を評価する声も聞かれるが、第2セットはチャンピオンシップポイントを迎えながら落とし、その後は試合中に涙ぐむシーンも見られるなど、まだまだと感じる。メンタル的に持ち直したことが勝因と思われがちだが、むしろプレーそのものでピンチをしのいだ。鍵となったのは第3セットの第6ゲーム。相手にブレークポイントを握られながらも盛り返し、ジュースとしてからサービスエースでアドバンテージ。力んでサーブが入りづらい状況でエースを決めた。

 クビトバは大坂が対戦し慣れていない左利きで、第1セットは対応できていなかった。ワイドサーブを打たれると簡単にポイントを与えていたが、タイブレークや第2セット以降のブレークしたゲームでは、しっかり読み切って対応した。現状の女子シングルスでクビトバ以上の左利き選手はいない。決勝という舞台での今回の経験は、大坂にとって大きな財産になる。

 次の4大大会である全仏オープンは、クレーコートで一番の難関になる。サーブに頼れないし、スライディングやドロップショットの技術をさらに磨く必要があるだろう。忍耐力やフットワークも問われる大会。それほど甘くないが、今の彼女の成長を見れば、楽しみであるのは間違いない。(WOWOW解説者、日本テニス協会公認S級エリートコーチ)

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