“アドベンチャーランナー”北田氏「ピレネー山脈横断」8日目、疲労蓄積で厳しく
世界7大陸アドベンチャーマラソンを日本人で初走破したアドベンチャーランナーの北田雄夫氏(33)の「ピレネー山脈900キロ横断」に挑戦している。現地から届いた4〜8日目のリポートを生の声を交えてお伝えする。
【8月2日・4日目】
▼3時起床、晴れ。「睡眠は5時間。ここ3日間の疲労と炎症で、夜寝付けない。標高1500メートルの山小屋で、屋根だけしかない場所で寝たこともあって、少し寒い。簡素な食事を済ませて出発する」。
▼4時半出発。「標高2000メートルの山を登る。標高が高くなり、随分と涼しい。コース途中で牛の放牧地を通る。近くまでいくと、牛たちがコースをふさいでいた。通してくれとお願いすると、牛たちが自分の顔を見てくる。にらめっこをするが、一向にどいてくれる気配はない。仕方なく、回り道をして先へ進む」
▼8時半、11キロ、累計標高差1500メートルを走破し、山小屋に到着。「簡単な食事(75ユーロ)を注文。パンとジャムとバター。似たような食事に飽きてきて、徐々に食べるのがつらくなってきた。ここからまた急な登り坂を一気に登る。日差しが強くなり、暑さが倍増。汗を流しながら登る。昼間の暑い時間帯はやはり身体にこたえてくる。山を登りきれば、その後はすぐ下り。岩や木の根がたくさんある、歩きにくい山の斜面の道をひたすら進む」
▼14時、26キロ、同標高差3600メートルを走破、プラーヌに到着。「朝からパンしか食べておらず、空腹でガス欠。ここで食事をたくさんとって、先へ進む。その後のスーパーで、大袋フィナンシェ、チップス2袋、ヨーグルト大2本など、食料を大量仕入れる」
▼20時半、45キロ、同標高差4500メートルを走破し、ブイユーズに到着。「到着した山小屋があいにく満室。宿とレストランを探して、周辺を行ったり来たりと、結局30分の無駄な時間を過ごす。ご飯を食べて、ようやくテント場までたどり着く。体が疲れてきて、精神的にもつらくなってきた。まだ4日目なのに…、ひとまず明日も頑張ろう」。就寝。
【8月3日・5日目】
▼3時起床、晴れ。4時半出発。「標高2000メートルを超えて、寒くなってきた。湿地帯を抜けて2300メートルの山越えのコース。ピレネー山脈の絶景が広がっていた」
▼9時40分、18キロ、累計標高差1300メートルを走破。
▼15時、28キロ、同標高差2900メートルを走破。レストランで豚とポテトを食べる。その後、2400メートルの山越え。傾斜がきつく、岩場ばかり。歩くのもままならない道を5時間ほどかけ山を登り続ける。
▼21時半、山小屋に到着。40キロ、同標高差5000メートルを走破。「日が沈む前になんとか到着。食べたい、眠りたい、ただそれだけ。あまりにも疲れたのか、この先を考えると気が滅入ってくる。でも良かった。ひとまず今日が終わり、また明日を迎えられる。まだまだ前半戦、明日からも頑張ろう」。山小屋のベンチで、23時就寝。
【8月4日・6日目】
▼3時半起床、晴れ。4時50分出発。「4時間半寝たが、眠たい。疲労がたまり、徐々に眠気が取れなくなってきた。暗闇の中、滑落しないように注意しながら2000メートルを超す山々の稜線を進み続ける」。
▼9時に山小屋到着。14キロ、累計高低差1600メートルを走破。「山小屋は相変わらず同じメニューばかり。今回もハムとチーズのシンプルなサンドイッチ。味に飽きてきて食欲がわかないが、体を動かすために食べる。食事の後は坂を下り続けるコースが続く」
▼18時半、シゲに到着。37キロ、同標高差5300メートルを走破。「食事、洗濯、シャワーを済ませて就寝。標高差はあったものの、険しい道は少なく、難なく終えられた一日だった」。就寝。
【8月5日・7日目】
▼3時起床、晴れ。4時半出発。
▼10時、13キロ、累計標高差1300メートルを走破。小さな商店で、アイス、フルーツ、ジュースを購入。「標高800メートルの街から1800メートルの峠まで、映画にでてきそうな壮大な景色の中を登っていく。登るつらさはあるが、これほど美しい景色だと頑張って登れる。こうした絶景の自然に出合えるのは、このチャレンジの大きな魅力の一つ」。
▼17時、坂を下り、33キロ、同標高差3500メートルを走破し、オ・リュ・レバンに到着。「今日は久々にゆっくりと休めそうだ。まだまだ先は長いので、ここでしっかり休んで、また明日から頑張りたい」。就寝。
【8月6日・8日目】
▼晴れ。4時50分出発。
▼10時、17キロ、累計標高差2200メートルを走破。「スーパーで食料を調達。その後、次の目的地に向かってコースを進んでいたはすが、徐々に道の痕跡がなくなっていき、次第に泥沼へと入っていく。GPSで見ると、この先真っすぐ行けば道につながるはず。だが、目の前は泥沼。道らしい道はない。どうしようか迷った挙げ句、もう少し進むことに。すると今度は牧場に出る。もう完全にコースではない。だが引き返すにはロスになるので、近くに通っている道を目指すことに。急な坂を無理やり下る。そうしたら周囲一面に鉄線が張り巡らされていた。出口を探し回り、ようやく出口発見。どうにか迷走から抜け出すことができてホッとする」
▼14時半、オナックに到着。「食事をとり、水浴びを行う」
▼17時、エスビッツに到着。37キロ、同標高差3900メートルを走破。「アップルジュースと、持ち合わせのマフィンで食事をとる」
▼21時、45キロ、同標高差4700メートルを走破。川沿いでテント泊。「疲労がたまり、朝晩がつらくなってきた」。就寝。
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