野沢啓佑 1台もハードル跳ばず途中棄権 葛藤と戦った十数歩

[ 2018年6月22日 18:26 ]

陸上・日本選手権   男子400メートル障害予選 ( 2018年6月22日    山口市・維新みらいふスタジアム )

 16年リオデジャネイロ五輪代表の野沢啓佑(27=ミズノ)が、1台もハードルを跳ぶことなく途中棄権した。5月中旬に痛めた右足首の影響でコンディションを整えることができなかった。

 「故障は良くなっているが、レースを走ることで悪化する可能性が高いと考えた。大変申し訳ないけれど」

 2年前の王者は、号砲後、険しい表情で1台目に向かった。「スタートだけしっかり切る」と最初から棄権するつもりで飛び出たものの、目的を成し遂げるのは思ったほど簡単ではなかった。

 「(途中棄権をすると)割り切っていたけど、スタートをすると悔しい気持ちが出てきた。ここに向けてアプローチができなかった。情けない」。葛藤と戦った十数歩の後、走ることをやめた。

 リオ五輪の予選で自己記録の48秒62を出して準決勝に進んだ実力者は、昨季から相次ぐ故障に苦しんでいる。「秋には記録を残せるように頑張りたい」。第一人者が1台も跳ぶことなくレースを終えた心境は、察するにあまりある。世界のファイナリストに近づいた“2代目侍ハードラー”の復活を願わずにはいられない。

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2018年6月22日のニュース