「グッド3」の意味は?ギャラリーの掛け声、日米の違いあれこれ

[ 2016年9月7日 10:35 ]

フジサンケイクラシック最終日の17番、ティーグラウンドで打球の方向を指差す石川遼

 男子ゴルフの石川遼(24=CASIO)が8月のRIZAP・KBCオーガスタで優勝し、翌週のフジサンケイ・クラシックを2位で終えた。腰痛からの完全復活は目前と見て良いだろう。

 フジサンケイ・クラシック最終日の石川はよく声を出した。10番ではバンカーから第2打を放った後「ゴー!」と吠えた。12番ではドライバーを振り切った直後に再び「ゴー!」。18番ではフェアウエーからアイアンでとらえた球を目で追いながら「落ちろ!」と叫んだ。予選落ちした7月の日本プロ選手権ではあまり見られなかった光景だった。そのことを尋ねると石川はこう答えた。

 「声が出せている時の方が自分のスイングができている。余裕がないと“まっすぐ飛んでくれ”となる。18番はピンしか見ていないし、ピンまでの距離しか見ていない。打った瞬間に少し大きいかなと思ったので“落ちろ”と言った。距離感が出ている証拠。“ゴー”と言ってオーバーしてたらダサいでしょ」

 距離感、フィーリングのわずかなズレを敏感に感じ取れる状態にあるからこそ声が出る。石川にとって声は調子のバロメーターとも言えそうだ。

 野球やサッカーと違いゴルフは静寂の中で行われるスポーツである。だからこそ声が際立つ。

 ゴルファーはショットの直後に様々な声を出す。「ゴー」は球がもう少し飛んでほしい時に使う。逆に早く落ちてほしい場合には「落ちろ」や「ダウン」と言う。スピンがかかって止まってほしいケースでは「スピン」と言ったり「バイト(Bite=噛め)」と言ったりする。

 米ネバダ州立大卒業で米ツアーにも精通している佐藤信人プロ(46)によると、こうした言葉にも日本と米国で微妙な違いがあるという。米国では「ダウン」と同じ意味で「シット(Sit=座れ)」も使われる。

 ギャラリーの掛け声も日米差がある。日本では「ナイスショット」、「ナイスオン」、「ナイスバーディー」という声が聞かれる。しかし佐藤プロは「ナイスショットは間違いではないが、米国ではグッドショットの方が一般的。ナイスオンは使わない」と指摘する。

 日本ではティーショットなどに「ナイスショット」、グリーンを狙うショットに「ナイスオン」、グリーン周りからの寄せには「ナイスアプローチ」とショットの種類に応じて言葉を替えるが、米国ではアプローチを含む全てのショットを称賛する言葉として「グッドショット」が使われる。

 米ツアーではパットの時に観客が「ゲット・イン・ザ・ホール(Get in the hole」と叫ぶ。日本では「入れ!」になるわけだが、英語の方が何となく格好良く聞こえるから少し悔しい。

 ちなみにバーディーを取った選手への掛け声も異なる。佐藤プロは「ナイスバーディーとも言うけど、米国ではストローク数で表現する方が多い」と言う。例えばパー4なら「グッド3」、パー5なら「グッド4」。これも格好良い。

 試合会場に足を運んで、選手の声を聞き、粋な掛け声を掛けるのもツアーの楽しみ方の1つかもしれない。このコラムが参考になれば幸いである。 (専門委員・福永稔彦)

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2016年9月7日のニュース