永野 故郷へ届ける好プレーで2位 震度7観測の益城町出身

[ 2016年4月16日 05:30 ]

第2日、7番でアプローチショットを放つ永野竜太郎。通算5アンダーで2位

男子ゴルフツアー東建ホームメイト・カップ第2日

(4月15日 三重県桑名市 東建多度カントリークラブ・名古屋=7081ヤード、パー71)
 熊本県益城町出身の永野竜太郎(27=フリー)が故郷へ届ける好プレーを見せた。4バーディー、5ボギーの72をマーク。首位から通算5アンダーの2位に後退したものの、悪コンディションの中で耐えた。中学時代まで過ごした益城町は14日の熊本地震で震度7を観測。隣接する菊陽町で行われる予定だった女子ゴルフのKKT杯バンテリン・レディースが中止となるなど混乱が広がって不安を抱えながらも粘った。金庚泰(キムキョンテ)(29=韓国)が67を出し、通算7アンダーで単独首位に立った。
【第2R】

 ふるさとへの思いが、永野を土俵際で踏ん張らせた。強風でアンダーパーはわずか7人。平均ストローク74・806の中で72をマーク。大きく息をついてホールアウトした。

 「コンディションが大変で、気持ちが切れると、どこまでも打ちそうだった。でも(地震のことがあったから)少なからず、強い気持ちを持てました」

 中学時代まで過ごした益城町は前夜、最大震度7を観測した。ホテルでテレビを見ていた永野はすぐに熊本市内にいる母・益美さん(54)らに電話。自宅の仏壇などが倒れるなどしたものの、知人の安否を確認した。母を通じ、今も益城町に住む祖父・孝之さん(80)の無事も知った。母からは「いつも通りやっておいで」と言われたが、テレビから流れる映像に声を失った。

 「道路が陥没するなど、本当にあそこなのかなと思った。自分が知っている光景と全然違って、あ然とした」

 益城町は、プロゴルファー・永野の原点と言っていい。小学3年からゴルフを始めた少年が腕を磨いたのは、孝之さんが同町で経営する牧場の横につくった長さ84ヤードの打撃練習場。自然豊かな場所でゴルフに打ち込む一方、嫌になると練習をサボって山の中に入って友達と遊んだこともある。

 「一番楽しい、小中を過ごした場所。今でも一番落ち着くところです」

 落ち着かない一夜を過ごし、迎えた2日目。「昨日の夜から変なゴルフはできないと思っていた」と2番で1メートル、3番で1・5メートルにつけるスーパーショットを見せて連続バーディー。4番は7メートルを入れ、3連続バーディーで通算9アンダーまでスコアを伸ばして十分、見せ場をつくった。

 首位からは転落したが、わずか2打差。「落ち込んでいる場合じゃない。少しでも成績を出すことで知り合いの気持ちがいい方向にいってくれればと思う」。獲得した賞金による義援金など支援する意向も明らかにしたが、一番はリーダーボードの上に名前を記すこと。ツアー未勝利の27歳が、故郷を背負ってプレーを続ける。

 ◆永野 竜太郎(ながの・りゅうたろう)1988年(昭63)5月6日生まれ、熊本県益城町出身の27歳。小学3年からゴルフを始め、茨城・水城高に進学。2年時に日本アマで決勝に進出。東北福祉大2年時の08年に予選会を受験しプロ転向。12年に初めて賞金シードを獲得。自己最高成績は昨年の日本ゴルフツアー選手権などの2位。1メートル81、85キロ。

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