白鵬「後の先」で勝つ!双葉山“妙技”を出稽古で連日敢行

[ 2015年7月8日 05:30 ]

出稽古先で立ち合いの当たりを確かめる白鵬(右)

 大相撲の名古屋場所(12日初日、愛知県体育館)で自身の史上最多記録を更新する35度目の優勝を狙う横綱・白鵬(30=宮城野部屋)が7日、名古屋市内の九重部屋に出稽古した。幕内・千代大龍に対し、かつて双葉山が極めたとされる妙技「後の先」の立ち合いで勝利を飾るなど研究に余念がない様子。大鵬の優勝32回という大記録を超えた今、自らが追い求める“理想の内容”での優勝を本格的に見据えている。

 “35”回目の優勝を狙う今場所。白鵬が胸に思い描きながら稽古をしているのは第“35”代横綱・双葉山の姿だ。戦前に史上最多の69連勝を達成した双葉山が極めたとされる「後の先」の立ち合いを連日の出稽古で敢行。前日に試した際は稀勢の里にそのまま押し出されてしまったが、この日は千代大龍を相手に成功させて押し出しで勝利。一瞬遅れて立ったかに見えるが、実は隙をついて先手を奪い、最後は自分の型で勝つという究極の奥義。今年初場所に大鵬を超える33回目の優勝を決めた直後、次なる目標として「15日間を通して“後の先”をやりたい」と語っていたように、まさに研究真っ最中だ。

 史上最多の優勝記録を更新し、先場所には照ノ富士に連覇を6で止められた。ある意味、白鵬にとっては1つの白星よりも内容を重視する環境は整ったのかもしれない。この日も後の先の立ち合いの他にも、千代大龍と千代丸の圧力を完全に受けてから攻めに転じる相撲を連発して15番取って12勝3敗。「2人が押し相撲だからね。(受ける相撲が多かった)3月場所をイメージしてね」とさまざまな考えを巡らせながら汗を流している。

 午後に名古屋市内の病院を慰問した際には集まった患者さんに向かって“相撲愛”を大いに語った。「私は2人の横綱を愛しています。双葉山関と大鵬関です。双葉山関は69連勝を達成し、3年半近く負けなかった。大鵬関には本当にかわいがってもらいました」。大鵬の記録は既に超え、目指すは言葉すら交わしたことのない双葉山の精神力。白鵬の研究はまだ志半ばだ。

 ▽「後の先(ごのせん)」 戦前に活躍し、69連勝の不滅の記録を持つ不世出の横綱・双葉山が極めたとされる立ち合いの極意。立ち遅れたように見えながら最後は自分の型になり勝つスタイル。双葉山に憧れる白鵬も理想の立ち合いとして習得に励んでいる。

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