新国立、アーチ構造維持 整備費大幅増2520億円の方針

[ 2015年6月24日 09:45 ]

新国立競技場のイメージ(日本スポーツ振興センター提供)

 政府は24日、2020年東京五輪・パラリンピックのメーン会場となる新国立競技場の整備費について当初予定を800億円以上も上回る2520億円とする方針を固めた。屋根を支える2本の巨大なアーチ構造を特徴とするデザインは維持する。近く建設業者と工事契約を結び、10月に着工する予定で、19年のラグビー・ワールドカップ日本大会までの完成を目指す。

 景観を阻害し、コストも掛かりすぎるとして、建築家や市民からデザインの見直しを求める声が上がっていたが、政府は工事の遅れにつながる大幅な設計変更は困難と判断した。財源確保策が今後の焦点となる。

 東京五輪の準備に携わる主要団体の調整会議で29日、報告する。

 文部科学省と事業主体の日本スポーツ振興センター(JSC)は建設費1625億円、旧国立競技場の解体費67億円を含めて当初1692億円としていた整備費が膨らむのを抑えるため、観客席の一部を仮設にするなどコスト削減に向けた計画見直しを続けていた。

 文科省は今後、東京都にも見直しの内容を説明、費用の一部として500億円の負担を受け入れるよう求めたいとしている。

 巨大アーチのデザインは、12年にJSCが実施した国際公募で選ばれた。だが、技術的に難しくコスト増や工事の遅れにつながるなどと建築家らが反発、デザインの見直し案も提案していた。

 ▼新国立競技場 老朽化が進み、大規模な国際大会を開く基準を満たさなくなっていた国立競技場(東京都新宿区)の跡地に新設する競技場。デザインは女性建築家ザハ・ハディド氏。基本設計時に1692億円と見込んだ総工費が建築資材の高騰などで膨らんだ。文部科学省は5月、工期を短縮するため開閉式屋根の設置を2020年東京五輪後に先延ばしし、コスト削減策として8万の観客席のうち可動式の約1万5千を仮設にすると発表した。

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