国立競技場取り壊し中止を 「文化遺産」と芸大教授ら

[ 2014年7月23日 17:33 ]

 東京芸術大美術学部の坂口寛敏教授らは23日、国立競技場の保存を国や運営主体の日本スポーツ振興センター(JSC)に求める意見書を発表した。2020年東京五輪のメーン会場となる新国立競技場建設のため取り壊される現競技場について「平和国家として再出発する意思表示をした1964年の五輪で大きな感動を生み出した心の文化遺産だ」と訴えた。

 意見書は「がれきとして捨て去ってしまう発想は、歴史を軽んじ、先人の努力を踏みにじる」と批判した。

 文部科学省で記者会見した坂口教授は、現競技場が周辺環境と調和しており、長谷川路可の壁画など建物内に残る芸術作品も含め「これほど大きく、一体化された芸術表現はない」と強調した。

 JSCは、解体後も作品を保存することを決めたが、絵画の保存修復が専門の木島隆康東京芸大大学院教授は「壁画は巨大なため、移設時に損壊する恐れがある」と指摘した。

 JSCは当初、7月に解体工事を始める予定だったが、入札不調などで8月にずれ込む見通し。

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2014年7月23日のニュース