29歳白鵬 29度目V!3横綱時代も先輩の意地

[ 2014年5月26日 05:30 ]

タイを持ちあげ笑顔の白鵬

大相撲夏場所千秋楽

(5月25日 東京・両国国技館)
 横綱・白鵬が結びの一番で横綱・日馬富士を上手投げで下し、14勝1敗で2場所ぶり29度目の優勝を飾った。01年初場所以来となった3横綱時代の幕開けを制し、優勝回数で千代の富士の31度、大鵬の32度を視野に入れた。1差で白鵬を追っていた大関・稀勢の里は新横綱の鶴竜を突き出して13勝目。来場所が綱獲りになる可能性も出てきた。
【取組結果】

 稀勢の里との優勝決定戦を期待する館内の声はその強さの前にかき消された。白鵬が結びで日馬富士を退けて優勝。立ち合い、左から張って相手の出足を止め、左に動いて右差しで左上手を取ると体を開きながらの上手投げ。西の横綱を豪快に転がした。

 来日した父・ムンフバトさん(72)、母・タミルさん(66)が見守る中での賜杯。優勝インタビューでは「29歳で29回目の優勝はうれしい」と話し、支度部屋では「(両親の前での相撲は)何年ぶりかな」と感慨深い表情を見せた。

 星数ほど順調ではなかった。5日目の宝富士、10日目の栃煌山に苦戦。11日目の豪栄道にはまさかの敗戦。上位戦を控えて稀勢の里の足音が聞こえてきた。それでも逃げ切る強さがあった。

 「15日間(ずっと)自分十分ではない。形にこだわらずどんな相撲にも対応した。そういう意味で体が動いた。そんな場所でした」

 場所中には「これ以上強くはならない。維持するだけ」と漏らしたことがあった。数年前から血液検査の数値を気にし、知識も蓄えた。「一般の人の尿酸値は6くらいなのに、お相撲さんは平均8くらい。私は9・5くらい」。これ以上数値を上げないためにと09年ごろから青汁を飲み始め、野菜の摂取も多くした。

 完全に射程圏に入った大鵬のV32。7月の名古屋場所では史上3人目のV30がかかる。そのスタート地点に白鵬が選んだのは滋賀県長浜市だ。6月中旬から約1週間、宮城野部屋の合宿が行われることが判明した。同市は豊臣秀吉が織田信長から領地を与えられ、初めて一国一城の主(あるじ)になった 場所。戦国一の出世人が力をつけた地で万全の体をつくり、秀吉や信長にゆかりの深い名古屋に乗り込む。幕内通算勝利数も745で大鵬の史上4位・746勝に王手をかけている。3横綱時代も天下人は譲らない。

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