小平 ソチで個人メダル狙う 次は20年東京で自転車挑戦!?

[ 2013年10月30日 06:00 ]

自転車練習を行うする小平(サイクルラインズ提供)

 来年2月7日に開幕するソチ冬季五輪(ロシア)まで30日であと100日となった。スピードスケート女子の小平奈緒(27=相沢病院)は、10年バンクーバー五輪で個人のメダルは逃したが、団体追い抜きで銀メダルを獲得。ソチ五輪に向けた体力強化として行った自転車トレーニングでは、プロのガールズケイリンの選手に見劣りしない記録をマーク。悲願の個人メダル獲得の先に、20年東京夏季五輪挑戦という道も見えている。

 初めて五輪を意識したのは98年長野冬季五輪だった。「地元の長野で五輪が開かれたときは本当に感動して、子供ながらに鳥肌が立つような思い出がある」。当時は小学5年。その後、3度の冬季五輪が過ぎ、個人メダル獲得の期待がかかるソチ五輪は100日後に迫った。「五輪という舞台で、私が滑りたいスケートをやれたらいいなと思う」と表情を引き締めた。

 初出場の10年バンクーバー五輪は個人3種目に加え、3人で滑る団体追い抜きにも出場。「一回りも二回りも成長できた。2度、3度と五輪のレースを経験できたことは今につながっている」と振り返る。団体追い抜きではスピードのある小平の貢献が大きく、銀メダルを獲得。ただ、500メートルでは12位に沈み、1000メートルはメダルまで0秒08差、1500メートルも0秒24差で、ともに5位に終わった。「個人の力としてはまだまだ及ばなかった」と悔しさが個人メダルへの思いをより大きくした。

 昨季はシーズン終盤に体重が減り、力を発揮できなかった。体力強化のために管理栄養士に指導を仰いだところ、練習量に適した炭水化物が取れていないと指摘された。「茶わんから丼にして食べています」と“男飯”で筋量アップに成功。今季に向けての肉体改造は小平の今後の可能性までも広げる結果となった。

 ウエートトレーニングではスクワットで150キロ、ベンチプレスで77キロを挙げるようになるなどパワーアップしたが、周囲を最も驚かせたのが自転車の練習だった。200メートルタイムトライアルでは時速60・1キロをマーク。結城匡啓コーチ(48)は「ガールズケイリン(の選手)より速いと聞いています」と成長ぶりに目を細める。ガールズケイリンはゴール前の最高時速は70キロとも言われているが、専門外の“素人”の時速60キロは驚異の数字だ。

 スピードスケート選手が自転車競技を兼ねるのは珍しくない。小平は自転車練習に関して「力をMAXに出した時の体のコントロールという面でスケートと似ている。体幹も整えられる」と手応えと効果を口にする。自転車競技、さらに20年東京五輪への挑戦については「(レースで他の選手との)接触とか、やったことがないので。でも最後の最後にまくっていけばいいですかね!?」と前向きと取れる発言も飛び出した。

 もちろん、現在の目標はソチ五輪でのメダル獲得だ。27日まで開催された全日本距離別選手権では1000メートルで自身の国内最高記録を0秒06更新する1分15秒91をマークし、5年連続で500メートルとの2冠を達成するなど最高のスタートを切った。「4年間でつくり上げてきた。全てをスケートにささげて準備できたのかなと思う」。ソチ五輪で悲願が成就されれば、東京五輪という選択肢が浮かび上がってきてもおかしくない。

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2013年10月30日のニュース