堀 涙の初優勝 あわや失格、動揺…「棄権も考えた」

[ 2013年4月1日 06:00 ]

優勝を決め涙ぐむ堀奈津佳

女子ゴルフツアー アクサ・レディース最終日

(3月31日 宮崎市・UMKカントリークラブ=6470ヤード、パー72)
 プロ3年目の堀奈津佳(20=サマンサタバサ)が通算14アンダーで2位との3打差を守り、ツアー初優勝を果たした。11番で野村敏京(20=フリー)に並ばれながらも、13、15番のバーディーで突き放した。初日に特別規則の誤った措置をしていたことが2日目終了後に発覚。あわや失格という事態に見舞われて動揺したが、最終日はノーボギーの69と強心臓ぶりを見せつけ、栄冠を勝ち取った。 
【最終R】

 並ばれて初めて目が覚めた。11番で同組の野村がバーディー。スタート時の3打差の貯金がついになくなった。堀にとっては初めての最終日最終組。そこまで勝利を意識しないようにプレーしていたが「並ばれて勝ちたい気持ちが出てきた。ピンしか見えなかった」と持ち前の闘争心に火がついた。

 緊張から前半はパットを打ち切れなかったが、強気になったことで好転。13番で5メートルを沈めて再び単独首位に立つと、15番も5メートルを決めてバーディー。難しいホールが続く後半に同じ20歳の野村を引き離した。18番で20センチのパーパットを沈めるとガッツポーズは見せず、こぼれ落ちる涙をそっと拭いた。「小さい頃から優勝を夢見ていてプロを目指した。最高の瞬間でうれしかった」と感慨に浸った。

 精神的に難しい戦いを強いられた。2日目終了後、初日に特別規則を誤認してプレーしていたことが分かり、失格覚悟で自己申告。結局、日本女子プロ協会の通達文に誤解されても仕方ない不備があったとして罰は受けなかった。だが、一時は失格と伝えられるなど動揺は大きかった。

 最終日のスタート前には出場全選手が今回の堀の措置について事情説明を求める騒動になった。「正直(棄権を)考えた」と胸が痛んだ。選手会長に当たる吉田弓美子ミーティング委員長らの後押しで出場を決めたが、協会広報に付き添われ食堂や練習場に移動するなど、物々しい雰囲気に包まれた。優勝争いだけではない異質な重圧がのしかかった。それにも屈せず、ボギーなしの69。堂々の内容で初優勝をつかんだ。

 このオフはコーチが同じ江連アカデミーの中島敏雅氏ということもあり、上田桃子とタイ合宿を敢行。ショットに磨きをかけ、大会2日目の64につなげた。一連の騒動により優勝会見でも笑顔がなかった堀だが、素顔は明るい。高校を香川県で過ごしたことで「うどんが大好き。店を見つけたら入っちゃいます」とうれしそうに話す。2勝目をつかんだ時こそ、輝く笑顔を見せる。

 ◆堀 奈津佳(ほり・なつか)1992年(平4)7月6日、徳島市生まれの20歳。10歳でゴルフを始め、中2から上田桃子、諸見里しのぶがいた江連アカデミーに入門。週末は徳島市内から親の運転で、1時間近くかけて神戸市内の同アカデミーに通った。藤井学園寒川(香川)ではナショナルチームで活躍。11年のプロテストに2位で合格。ルーキーイヤーの昨年は賞金ランク72位ながら、下部ツアーで2勝を挙げた。1メートル59、50キロ。

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