寺川、バージョンアップ!“カヤック泳法”で金獲り

[ 2012年7月17日 06:00 ]

プールで笑顔をみせる寺川

 競泳日本代表が15日、スペイン・テネリフェで五輪直前合宿を公開した。女子100メートル背泳ぎの金メダル候補、寺川綾(27=ミズノ)は100メートルに特化した新たなパワー泳法を披露した。カヌー・カヤック用のトレーニングで鍛えた新たな泳ぎで金メダル獲得を狙う。今合宿には北島康介(29=日本コカ・コーラ)以外の26選手が参加し、20日にロンドン入りする。

 気温44度、練習会場の裏山では山火事が発生して煙が空を覆う中、寺川は黙々と泳ぎ込んだ。大西洋のリゾート地、テネリフェ島で11日に始まった直前合宿。日本女子のエースは「泳ぎが固まってきた」と日焼けした顔で手応えを口にした。

 バージョンアップした泳ぎが自信になっている。4月の代表選考会以降も週3回のサーキットトレーニングで強靱(きょうじん)な体づくりに励んだ。その中の一つが、都内の国立スポーツ科学センター内にあるカヌー・カヤック用マシン(デンマーク・スプリント社製)を使用したトレーニングだった。負荷のかかっている1本のバーを両手で持ち、パドルをこぐように体をうねらせ左右の腕を交互に回転させることで上半身を鍛えた。

 指導する日本代表の平井伯昌ヘッドコーチは「泳ぎのタイミングが変わってきた。体全体を使えている。もともとプル(手のかき)が強いが、回転力が上がった」と話す。一かきの推進力が大きくなったことで、最近の練習では後半50メートルのストローク数が6月のセッテコリ国際の34回から3回ほど減っているという。

 今季世界ランキング5位の200メートルはエントリーせず、より100メートルに特化した泳ぎにつくり変えてきた。平井コーチは男子100メートルでアテネ、北京両五輪金メダルのピアソル(米国)を例に出して「ピアソルも蛇行している。蛇行しても構わない」と助言する。小さくまとまるより、フィニッシュまで一気にかききるパワフルさを追求。寺川も「水をよくかけている感覚がある」と“カヤック泳法”に手応え十分だ。
 
 100メートルの59秒08は今季世界3位。ランク1位のフランクリン(米国)とは0秒23差。激戦が予想される。「今回は五輪の金メダルが目標。不安に思うことはない。きれいな気持ちで迎えられる」。開幕まで10日。万全の準備でロンドン入りできそうだ。

 ▽カヤック カヤックはカヌーの一種。片側に水かき(ブレード)のついたパドルを使うカナディアンに対し、両側に水かきのついたパドルを使うものをカヤックと呼ぶ。五輪競技では静水面で、タイムを競うスプリントと、流れの上流からゲートを通過する技術とゴールまでの所要時間を競うスラロームがある。

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2012年7月17日のニュース