遼くん 連日の猛チャージ!V圏の3差10位に浮上

[ 2012年7月8日 06:00 ]

17番、タンポポの咲く中、第2打の行方を見つめる石川遼

スポニチ後援男子ゴルフツアー 長嶋茂雄招待セガサミーカップ第3日

(7月7日 北海道千歳市 ザ・ノースカントリーゴルフクラブ=7127ヤード、パー72)
 27位からスタートした石川遼(20=パナソニック)が通算9アンダーの10位とV圏内に浮上した。今季初のノーボギーで、この日のベストスコアとなる66をマーク。初日は88位と大きく出遅れたにもかかわらず、首位と3打差まで追い上げてきた。大会名誉会長の長嶋茂雄・巨人終身名誉監督(75)も来場する最終日、石川は1年8カ月ぶりとなる通算10勝目をかけて“メークドラマ”に挑む。金亨成(32=韓国)と李京勲(20=韓国)が通算12アンダーで首位に並んだ。
【第3R成績】

 カシャカシャカシャ!

 アドレスを解いた石川が、突然クラブで右後方のギャラリーを指し示した。「あのピンクのシャツの人!」。18番パー5の2打目地点。石川が見せた想定外の行動に、周りにいた人は一瞬あ然とした。

 原因はカメラのシャッター音だった。優勝争いのために是が非でもバーディーが欲しい場面で、池越えの2オンを狙う直前。今にもクラブを上げようかという瞬間に、一眼レフを持ち込んだギャラリーが遠巻きでこっそり連写したのだった。

 結局、このギャラリーは写真を全て消去させられ、石川は無事に2オンしてバーディーで締めくくった。7、11番でもカメラマンのシャッター音に仕切り直しを強いられたが、11番では佐々木孝則キャディーの助言で、クラブをバッグから抜くところからやり直した。18番では間を取るために水を飲んでリセット。3度の“ハプニング”を巧みに切り抜け日米通じて今季初のノーボギーにつながった。

 初日はショットだけ2日目はパットだけが好調だったが、この日は「両方のいいところが出せた」と全てのプレーがかみ合った。予選突破すら危うい初日の出遅れから連日の猛チャージで巻き返し、首位との差は9、7、3とみるみる縮まった。

 ツアー初優勝時に初日70位から大まくりしたことはあるが順位的にはそれを上回る逆転劇を狙う。「大会に長嶋さんの名前がついているだけで選手としてはモチベーションが違う。優勝争いに加わるために3日目に必要なプレーはできた」。残すは3打差を追う18ホールのみ。メークドラマが成就すれば最後はミスターの笑顔の祝福が待っている。

 ≪88位から逆転Vなら歴代3番目≫初日に出遅れてからの大まくり優勝は、01年ダイヤモンド杯での伊沢利光の初日116位がツアー史上最高記録(記録の残る85年以降)になる。11年ミズノオープンでは黄重坤が94位から、86年ダンロップ国際では重信秀人が84位から勝った例があり、初日88位の石川が逆転優勝を飾れば歴代3番目の記録。石川はアマ時代の07年マンシングウェアKSBカップで初日70位から逆転優勝している。

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