ボルトが負けた!トラブル続き、練習パートナーに不覚

[ 2012年7月1日 06:00 ]

ブレーク(左端)が優勝。ボルト(左から3人目)はまさかの2位

陸上ジャマイカ選手権兼五輪代表選考会第2日

(6月29日 キングストン・ナショナルスタジアム)
 注目の男子100メートル決勝では世界記録保持者のウサイン・ボルト(25)が9秒86でまさかの2位。ロンドン五輪代表の座は獲得したが、今季世界最高(歴代4位)で自己ベストの9秒75をマークしたヨハン・ブレーク(22)との直接対決に敗れ、短距離王国の第一人者としての座から滑り落ちた。出走した100メートルでの敗戦は10年8月以来約2年ぶり。ボルトの周囲には雑音も多く、ロンドンへの道は険しいものになりそうだ。

 号砲からの反応が遅い。ボルトはスタートで大きく出遅れた。昨夏の世界選手権(韓国・大邱(テグ))決勝では痛恨のフライング。「弱点は知っているし、そのための練習も積んでいる」と語っていたが、一発失格となった世界選手権のトラウマを抱えたままのようなレースになってしまった。

 走ったのは5レーン。41歩目でフィニッシュする直前にチラリと見たのは3レーンのパウエルで、ゴール直前でかわして2位。しかし右サイドの7レーンを走ったブレークに視線を送る余裕はなく、急成長した練習パートナーは46歩目でボルトの前を駆け抜けていった。「準決勝からトラブルを排除するのが大変だった。でも“諦めないぞ”という気持ちだけは抱き続けた」。異変はスタート付近で起こった。詳細は不明だが、スタンドからのヤジが気になったのかもしれない。年収2030万ドル(約16億円)でフォーブス誌のスポーツ長者番付で63位にランクされた自称・伝説の男にとっては信じ難い雰囲気。しかしそれが今のボルトを象徴している。

 北京五輪には幼なじみの恋人が観客席にいたが、すでに破局。以後、ウエートレス、豊満なバストで有名なタレントらと浮名を流した。7カ月前からはスロバキア出身の28歳の美人デザイナーと交際。ところが5月にこの女性とも別れ、ジャマイカ国民からは「いいかげんすぎる」と手厳しい“レッドカード”を突きつけられていた。さらに今月に入って自身2度目の自動車事故を起こし、警察に無断で現場を立ち去ったことで「特別扱いするな!」とバッシングはさらに広がった。

 出走した100メートルでボルトが敗れたのは10年8月6日のDNガラン(ストックホルム)以来693日ぶり。そのレースでは9秒97をマークしながら9秒84のタイソン・ゲイ(29=米国)に敗れ2位に沈み、今回と同じく「2年ぶりの敗北」を喫していた。

 30日には200メートルの予選に出場するが、自身が保持する世界記録(19秒19)とブレークの自己ベスト(19秒26)の差は100メートル(その差0秒17)よりも接近。この種目でも敗れれば「伝説の男になる」という野望は、母国ジャマイカで打ち砕かれることになるだろう。

 【男子】 ▽100メートル決勝 (1)ブレーク9秒75(2)ボルト9秒86(3)パウエル9秒88(4)フレーター9秒94(5)ベイリーコール10秒00(6)カーター10秒01(7)クラーク10秒07(8)ハービー10秒17

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2012年7月1日のニュース