横審、伊藤理事に抗議書…“解任要求”も

[ 2010年8月26日 06:00 ]

会見で伊藤外部理事が横審を批判した記事のコピーを手に怒りをあらわにする鶴田委員長(右)(左は放駒理事長)

 日本相撲協会の諮問機関である横綱審議委員会(横審)が25日、東京・両国国技館で臨時の会合を開き、10日発売の月刊誌「文芸春秋」で横審を批判した伊藤滋外部理事(79=早大特命教授)に対し、全会一致で抗議書を出すことを決定した。異例の抗議書は放駒理事長(62=元大関・魁傑)によって同日、郵送された。伊藤理事の対応次第では、最悪の場合、横審が相撲協会に対し“解任要求”を突きつける可能性も出てきた。

 野球賭博や暴力団排除の経過報告が行われる予定だった横審の臨時会合が、一転して伊藤理事糾弾の場へと様変わりした。
 問題となったのは10日発売の「文芸春秋」で、特別調査委員会の座長を務める伊藤外部理事が「横審は横綱の品格や見識を問うていればいいのであって、改革についてお節介を焼かなくてもいいんですよ。権威主義的な昭和の遺物」と痛烈に批判した。この記事を受けて横審の各委員が猛反発。この日は会合の開始時間を30分遅らせて、別室で対策を協議し連名での抗議書を作成した。約20分間の会合では各委員から不満の声が噴出。「(われわれは)無用の長物ですか?」と放駒理事長に問いただしたところ「そんなことはありません」との回答があったという。
 会見した鶴田委員長は「理事長を通じて抗議書を出してもらった。教育者としてあるまじき不適切な発言だと思う。横審を侮辱している」とばっさり。また、重鎮の沢村委員は「文芸春秋」を持参して「こんな言い方ないと思いました。乱暴ですよ。みんなそう思っています」と怒りを爆発させた。
 横審は過去に三代目・若乃花と朝青龍を呼び出して事情聴取を行ったり、今年2月には朝青龍に引退勧告を出したこともあった。しかし横綱以外の問題で抗議書を出すのは極めて異例で、鶴田委員長も「それだけ(問題が)重いということです」と委員の声を代弁した。
 こうした反発の声に対し伊藤理事はこの日「何も言うことはありません」とのコメントを出しただけ。今後も全く対応しない可能性もあるが、一部委員は「もし無視するなら、外部理事を辞めるべき」と強硬手段に訴える構えを見せている。横審には協会人事に介入できる権限はないが、今後の展開次第では、放駒理事長に対して伊藤理事の解任を求める事態に発展しそうな雲行きだ。

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2010年8月26日のニュース