波乱の再スタート…阿武松部屋7人が全敗

[ 2010年7月12日 06:00 ]

<大相撲名古屋場所・初日>はたきこみで若天狼に敗れた益荒海

 【大相撲名古屋場所初日】野球賭博に絡み、消滅の危機にあった3部屋が波乱の再スタートを切った。中でも床山や幕下力士ら9人が野球賭博に関与し、部屋全体での謹慎も検討されていた阿武松部屋は、十両の益荒海を筆頭にこの日取組のあった7人が全敗した。

 益荒海は取組前に館内放送で「阿武松部屋」と紹介されると、観客席から「しっかりしろよ」と厳しい声が飛んだ。愛知県尾張旭市の宿舎で謹慎している阿武松親方(元関脇・益荒雄)からは「思い切って取ってこい」と送り出され、その期待に応えるように立ち合いから若天狼を攻め込んでいったが、土俵際でうまくいなされはたき込まれた。「何も考えずにいったんですけど…。場所に出させてもらえるだけでもありがたいと、できるだけのことはしてきたんですが」とうなだれた。
 また、前大嶽親方(元関脇・貴闘力)が解雇となった大嶽部屋は、序二段の森麗(もりうらら)こそすくい投げで勝ったものの、1勝3敗。森麗が土俵に上がったときには「大嶽部屋をつぶせ」というやじも飛んだ。森麗は「(前師匠が解雇になり)落ち込んだ。部屋がなくなると思って涙が出たが、今は大丈夫。今の師匠には相撲しかないと言われた」と前を向いた。部屋を継いだ大嶽親方(元十両・大竜)は「土俵に上がれるだけで幸せに思わないといけない。一日一日を一生懸命生きようと伝えた」と弟子の奮起に期待を寄せた。
 一方、師匠の時津風親方(元幕内・時津海)と幕内・豊ノ島が謹慎処分となった時津風部屋は5勝2敗だった。垣添に快勝した霜鳳は「カメラマンがいっぱいきて集中しづらかったが、やるべきことはやってきた。一番一番いつもと変わらずやるしかない」と話した。問題が起きた部屋の力士たちは、今場所外出を自粛し土俵に集中しようとしているが、初日は苦難の船出となった。

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2010年7月12日のニュース